The Japanese Society of Veterinary Science
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Q:鹿肉を40度以下で長時間加熱の場合でも生食と同等のリスクになるのでしょうか、他

【質問1】

鹿撃ちをする知人からエゾ鹿の肉をいただきジャーキーを作っています。
スライスした肉を、ストーブの熱風が37度位のところで2・3日、トータル20時間炙っています。
このような40度以下で長時間の加熱の場合でも生食と同等のリスクになるのでしょうか?

【質問2】

同様の方法で鳥の胸肉、ササミ、砂肝もジャーキーにしているのですがこれも鹿同様のリスクがありますか?

前掲のQ&A 「犬、猫に生の鹿・猪肉を与えてよいか

質問1のお答え

厚生労働省では、食中毒予防の観点から、食肉は、"中心温度"として、「75℃、1分間」以上かそれと同等の加熱をすることを推奨しています。一方で、調理をする側からは、より低温で調理する(低温調理)ことが求められています。
そこで、厚生労働省の"食肉の加熱条件に関するQ&A"、ならびに"野生鳥獣肉に関するQ&A"にて、 「75℃、1分間」と同等の効果を、より低温で得られる条件を以下の通り示しています。
「70℃、3 分」
「69℃、4 分」
「68℃、5 分」
「67℃、8 分」
「66℃、11 分」
「65℃、15 分」
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365098.pdf

ご質問にある様な、40℃以下での条件は記されていません。
実際に40℃以下の加熱で病原体を殺滅させることは困難であると思います。
ただし、お問い合わせでは、「ストーブの熱風で2・3日炙り干し」をするとのこと。
微生物を殺滅させる条件には、熱だけではなく、pHや水分活性などの条件も関わってきます。
「ストーブの熱風で2・3日炙り干し」 をするということは、食品を乾燥させる(水分活性を低下させる)こととなり、微生物の増殖を抑制する方向に作用します。
このように、微生物を殺滅させる条件は、単に加温条件だけではなく、様々な要因が関わります。
「40℃以下の加熱」と「加熱時間」に加え、「水分活性」を考慮した条件において、様々な微生物の 生残性を示す科学的データはありません。
確実に言えることは、上記厚労省の示した条件を目安とするということになります。


質問2のお答え

加熱による微生物の殺菌条件については、その肉が鶏であろうと鹿であろうとほとんど違いはありません。
加熱不十分な鶏肉の喫食は、サルモネラやカンピロバクターなどの食中毒の原因となる危険性があります。やはり、上記 「75℃、1分間」と同等以上の効果を示す加熱条件による加熱調理が必要です。

日本大学生物資源科学部獣医学科 壁谷英則
(2019/11/20 掲載)

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