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Q:E型肝炎ウイルス抗体を持つ犬との接触について
(E型肝炎ウイルス:HEVに対する)抗体陰性の犬と、すでに抗体を持っている犬との接触は危険でしょうか。

お答え

E型肝炎はHEVに急性感染して発症する肝炎であり、一般に持続感染はしないことが知られています。すなわち、感染個体での症状の経過は一過性のものであり、感染個体からのウイルスの排泄も一時的です。「すでに抗体を持っている犬」は、「過去に感染を受けた犬」であり、すでにウイルス排泄の時期を経過している可能性が高いと考えられます。これを踏まえて以下2つの状況について、考察します。

  1. 抗体陰性の犬(E型肝炎ウイルスに感染し、抗体が産生される前の状態)→抗体陽性の犬への感染 :仮に感染犬からウイルスが排泄されたとしても、別の犬はすでに抗体を持っているので、感染は防げる可能性が高いと考えられます。
  2. 抗体陽性の犬→抗体陰性の犬への感染 :上記の通り、抗体陽性の犬は、多くの場合すでにウイルスの排泄をしていない状態にあると考えて良いと思われます。たまたま感染急性期で、抗体が作られて始めており、かつ、ウイルスの排泄も同時にある状況のもの(人の典型的な臨床経過では、4~5週間程度で、肝炎症状が発症している時期に相当する)であれば、感染する可能性はゼロではありません。しかしながら、「HEVは犬にも感染はしますが,臨床症状は示さず,感染しても比較的早い段階で体内から排泄されてしまう」ことも併せて考えると、この可能性は極めて低いと考えて良いと思います。

E型肝炎ウイルスを含む肝炎ウイルスの唯一の標的細胞(ウイルスの増殖の場)は、肝細胞です。感染した肝細胞が宿主の免疫応答により破壊されたときに、血中に一時的に排出されます。よって、主な感染源は、①肝臓と、②血液、③糞便となります。このうち、同居している犬同士で経口感染する場面としては、③糞便が考えられますが、先の回答文本文にあるとおり、「これまでに犬からHEV 遺伝子は検出されていません。犬にHEVを静脈内投与した実験でも,抗HEV抗体は上昇しましたが,HEV遺伝子は検出されず,臨床症状も示しませんでした」。

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日本大学生物資源科学部
教授 壁谷英則
(2018/12/7 掲載)

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