The Japanese Society of Veterinary Science
TOP Q&A > 動物の病気や健康
Q:難治疾患の治療方法の開発や動物実験代替法について

私は獣医学部に入るために入試勉強中の者です。
飼い猫の影響で色々勉強をしている途中、 肥大型心筋症について知ったんですが、まだ完治させる方法はなく現状維持しか出来ないという話を聞きました。
その病気はこれから研究を重ねたり、医療技術が進歩したら充分治療方法を見つける可能性がある病気なのでしょうか?
どの分野に精進したらそれを可能にすることが出来るのでしょうか?
病理学での研究とか、外科のMicrosurgery技術関連が関わりのある分野なのでしょうか?
医療知識がないため今一イメージ掴めません。
私はその他にも動物実験代替法についてもすごく興味がありますが、その分野の場合どの方向に行ったら良いのでしょうか?
動物たちが苦しむ姿を見るのが物凄くつらいです。
彼らの幸せのために努力しながら私の生涯を使いたいです。

お答え

 医学においても心筋症の根本的な治療は心臓移植しかありません。獣医学では心臓移植は行われていないため、ご質問の通り、薬物により心拍数を下げる等の対症療法しかなく、残念ながら、重症の場合では予後不良であることが現状です。
 心筋症に限らず、ヒトおよび動物の病気には根治できないものがたくさんあります。その中で、新しい治療薬が開発されれば解決できそうな病気、新しい外科手術が有効な病気、予防方法を発見できそうな病気、あるいは分子生物学的な手法による遺伝子レベルでの治療が必要な病気等、実に様々です。猫の心筋症については、現時点では完治させる治療方法を見つける目処は立っていませんが、分子生物学的手法を用いた治療方法が開発されればブレイクスルーとなるのかもしれません。
 新たな治療法を探求するためには、医学あるいは獣医学での理論に基づいた基礎研究に加えて、その有効性および安全性を確かめる臨床治験(応用)の両輪が相互に円滑に回る必要があります。そのことから、多大な努力と多額な費用が求められる長い道のりとなります。
 動物実験代替法については、獣医学においても徐々に、そして確実に取り入れられ、実験動物の使用数が削減されています。有効な動物実験代替法を開発するためには、獣医学単独の努力だけでは到底不十分であり、工学、生物工学等の異分野との活発な共同研究が必要です。このことから、動物と共栄する社会を創生するには、獣医師以外の職業も非常に重要と考えられます。

日本大学 生物資源科学部 獣医学科 獣医放射線学研究室
中山 智宏
(2018/8/10 掲載)

連絡先 日本獣医学会事務局
officeco@jsvs.or.jp | Fax: 03-5803-7762
〒113-0033 東京都文京区本郷6-26-12 東京RSビル7階

Topページに戻る