獣医学会へのご質問,ありがとうございます。
私たち獣医師も,貴方と同様に少しでも多くの動物の命を救い怪我や病気を直したいと思っています。また,私たちもあなたと同様に家では猫や犬を飼っていますので,あなたの気持ちは良く理解できます。
獣医学教育において,実習や実験の際には,使用する動物の数をできるだけ制限をしたり,動物に苦痛を与えないような方法で行っています。また,動物のモデルを使った実習等も行われています。しかしながら,将来獣医師を目指す皆さんには,きちんとした技術や知識を身につけてもらわなければ,不幸になる動物や悲しむ飼い主の方が増えてしまいます。そのためには,どうしても生きた動物を使った実験や実習を行わざるをえないことがあります。また,やむなく実験動物を用いた実験を行うことがあります。
例えば,骨折の動物が来院した場合,骨の構造,血管や神経の走行,筋肉の付き方等を知らなければ,どのように傷口を切開し,手術に望むかはか分かりません。また,正しい手術の方法や知識を知らなければ,どのように麻酔をかけるのか,どのくらいの麻酔の深さであれば動物に苦痛なく折れた骨を修復し,皮膚を縫合するのかも分かりません。さらに,感染症の知識がなければ,動物は手術後に感染症を起こして死に至ることもあります。このような一連の作業は,ホルマリン漬けの動物を用いた実習や机上の学問だけでは難しいことはお分かりいただけるかと思います。
同様のご質問に対する回答が獣医学会Q&Aコーナーに記載されておりますので,ご参照ください。
日本獣医学会広報担当理事 丸山総一
(2013.11.8)