獣医学は家畜、伴侶動物および野生動物などを対象にして、病気の診断と治療、動物の健康管理、安全安心な畜産製品の流通、自然環境の保全などを通じて、最終的には人と動物の健康や福祉を守る学問です。
獣医学教育は科学的知識の取得と応用が求められ、家畜と野生動物両方の疾患防御、および食品衛生や環境衛生を通じた人間の健康の維持・増進を目的とした技術を学びます。卒業後に獣医師として就職する場合はこららの専門分野のどれかを選択することになりますが、獣医学教育のゴールである獣医師国家試験では全ての分野で一定程度以上の習得が求められます。
したがってどこの大学でも専門分野の選択性には多少特徴が異なりますが、同じようなカリキュラムで獣医学教育が行われています。これは獣医学教育の社会的責任を果たすことに他なりません。獣医学の膨大なカリキュラムを6年間の限られた年限で教授するので、獣医臨床分野では牛や豚などの経済動物と犬や猫などの伴侶動物が対象動物になります。
冒頭の獣医学の目的からすると、ウサギ、フェレット、ハムスターなどのエキゾチック動物のことまで、6年の年限内に詰め込むことはなかなか困難なことです。エキゾチック動物を専門に診療している獣医師は獣医師免許を取得後に犬や猫の診療経験を基礎にして専門化しています。大学選択の段階ではエキゾチック動物にこだわる必要はありません。将来の自分の目標としておけば十分です。
安田 準(岩手大学)