The Japanese Society of Veterinary Science
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Q:獣医学と生殖科学の研究について

生殖科学の研究には、獣医学研究者のみならず、畜産学や生物学の専門家など、多岐にわたる関連分野の方々が携わっていると思います。
獣医学の専門家が生殖科学を研究する意義や獣医学研究者にしかできない独自の研究などがあれば教えてください。

お答え
お問い合わせ、ありがとうございます。仰るように、生殖科学(私たちは、繁殖学、生殖生物学などと呼んでいます)の研究には、畜産学や獣医学だけでなく、理学や医学など、多岐の分野に属する方々が関わっています。『生殖』、すなわち「次世代の子孫を残すことにより種を維持する」という現象は、ヒトを含む哺乳類だけにみられるものでなく、ほぼ全ての動物、さらには植物でもみられます。雄と雌によって、次世代の子孫が生み出されることは『有性生殖』とよばれますが、例えば、プラナリア(切っても切ってもプラナリア(笑)として知られてますね)やアメーバが分裂したり、シダが胞子から発芽して新たなシダが育つことなどは『無性生殖』とよばれ、これもいわゆる『生殖』の一つとみなされます。

 さて、それでは、獣医学の専門家が『生殖』を研究する意義は何でしょうか?私は、特にいろいろな哺乳類について、比較生物学視点で『生殖』という現象を捉えることができる点が、獣医学を修めた者ならではの強みだと思います。実験動物であるラットやマウスの雌は、通常、妊娠していない場合、4日おきに排卵します(性周期と言います)。つまり、雄と交尾する機会が4日おきに巡ってくると言うことです。一方、ウシやブタは約21日、ヒトは28日です。このような種による違いが存在することや、何故そのような違いがあるのか、ということを正確に認識できることが、例えば、ヒトの不妊治療への応用を目指した研究や、家畜の効率的な生産を目指した研究など、多岐にわたる領域で獣医学の専門家が活躍できる理由であると思います。

東京大学獣医生理学教室 山内啓太郎
(2019.12.12 掲載)

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