The Japanese Society of Veterinary Science
 
Q&A > 獣医師の仕事について
Q:医師をやりながら獣医学に携われるか

初めまして。質問があります。私は高校2年生です。
将来は,医師になるか獣医師になるかとても迷っていましたが,ここ2年で,医師の道を進もうと思うようになりました。
しかし,まだ動物に関わる仕事への興味も強くあります。そこで質問があります。
医学部医学科を卒業し,医師の道を進みながらも,獣医学に関わっていくことはできますか?また,私は特に海に生息する生き物に興味があります。自分が欲張りだとは思いますが,色々なことに興味があるのです!

お答え

医師の道を進みながらも獣医学に関わっていくことは,趣味の世界では可能なのかも知れませんが,少し中途半端な感じがしませんか?医師も獣医師もそれぞれの免許証(国家資格)が必要で,社会的に果している役割は大きく異なっています。どちらも専門性が高く,また,人や動物の生命に直接かかわる職業なのでそれぞれのプロフェッショナルとして社会で求められる責任は極めて重いものがあります。あなたが今,漠然と考えている医師として働きながら,海に生息する生き物に関わって行くということが具体的にどのようなことをイメージしているのかはよく分かりませんが,生命に関わる仕事に携わるためには,その専門性(知識・技術)を十分に身につけることが重要なことだと思います。
ご存知の通り,医師は,医療や保健指導を通じて国民の健康を守ることが主な仕事です。一方,獣医師は,病気になった動物の治療のみならず,私たちが日頃食べている肉や卵,乳製品といった畜産食品の安全性確保に関わる仕事も行います。また,医師と獣医師がお互いの専門性を補って社会に貢献している分野もあります。例えば,人と動物が共通に罹る感染症の研究や予防,薬の開発や研究の仕事などです。獣医学では,海獣や養殖魚に限らず多くの種類の動物の病気の予防や治療を扱っています。海の生物の生態,生理,病気,食品としての魚類,それらを育む環境や自然保護に関わることは,海洋生物学,環境生態学や水産学の分野がカバーしています。
本当に自分がどの道を極めたいかをじっくりと考え,将来の進路を選んで欲しいと思います。

日本大学生物資源科学部 教授 五味浩司
(2016. 3. 9 掲載)

日本獣医学会事務局
officeco@jsvs.or.jp | Fax: 03-5803-7762
〒113-0033 東京都文京区本郷6-26-12 東京RSビル7階

Topページに戻る