獣医系の大学の受験を考えておられるとのこと,獣医学関係者として嬉しく思います。
現在,日本には16の獣医系大学(国公立11校,私立5校)が有り,いずれの大学においても卒業し,国家試験に合格すれば獣医師免許を取得することができます。入試区分(一般受験,推薦入試など)や受験科目は各大学で異なりますので,受験する大学の募集要項をよく読んで,あなたに合った大学を選択することをお勧めします。
各大学で学ぶ内容は,それほど大きな違いはありません。現在,獣医学教育のコアカリキュラム(全カリキュラムの約3分の2)といって獣医師として最低限学ぶべき内容が決まっていますので,各大学ではそれに沿った教育が行われるようになっています。残りの3分の1は,各大学で特徴あるカリキュラムが組まれています。将来,動物園の獣医師を目指しているとのことですが,いずれの大学でも犬,猫などの伴侶動物,牛,豚,鶏等の家畜を対象とした講義や実習が中心で,動物園動物に関する科目は極めて少なく,斉一の実習はどこの大学でも行われていないのが現実です。従って,動物園の獣医師の仕事は,休み中にご自身が動物園で実習されるか,卒業後,動物園に就職してから学ぶことになります。
また,動物園獣医師の需要は極めて少なく,動物園に就職するのは極めて難しいと言わざるをえません。
獣医師の仕事は,多岐にわたっていますので,はじめから動物園獣医師にこだわらず,6年間の教育の中で,ご自身に合った仕事を選択していくことも可能です。
まずは,ご希望の大学に合格されることをお祈りいたします。
日本獣医学会広報担当理事 丸山総一
(2014.1.10 掲載)