近年米国等で専門医を取得された先生方が国内外において活躍されていることもあり、専門医という資格に対する関心が高くなってきていることと思います。私自身が臨床系の教員ですので、ここでは臨床系の専門医に関する情報を書かせていただきます。
専門医になるためにはいくつかのハードルを越えなければなりません。一般的には獣医大学卒業後に大学や開業専門病院等でインターンシップ(1年間)、レジデンシー(2-3年間)の両プログラムを修了する必要があります。その後に専門医資格試験を受験し合格すれば晴れて専門医を名乗ることができます。両プログラムとも、分野によりますが、競争率が非常に高く英語を母国語としない日本人にとっては特に難関となります(小動物外科・内科、眼科等は特に人気があります)。
米国では一次、二次診療が確立されていることもあり、専門医は後者を受け持っています。そのため仕事内容はそのほとんど全てが紹介症例の診療ということになります。この点は日本の状況と大きく異なるものと思われます。
また「専門医資格を取得する上で国内でなく米国等の大学院に進学するのが得策か? 」というご質問ですが、率直に申しますと“あまり関係ない”と思います。上記プログラムでは臨床経験が特に重要とされますが、大学院は研究のみを目的としているためです。しかしご自身が臨床・研究の両方を学びたいのであれば、まず米国の大学院に進学するということは個人的にはお勧めです。
最後になりますが重要なことは専門医と博士はまったく異なる資格であるということです。それでは大志を持って勉学に励んでください。
岩手大学 片山泰章