獣医師採用を前提とした奨学金制度の有無に関するご質問だと思います。
こういう制度は確かにあります。いろいろな県で、大動物あるいは公衆衛生関係などの獣医師を採用するために奨学金制度を設けています。しかし内容は各県まちまちですので、こういう制度の各県における詳細、あるいは全国的な各県の実施状況については獣医学会では把握しておりませんし、おそらく農水省でも把握していないと思います。したがって、各県に個別に問いあわせて、この制度実施の有無、制度の内容などについて貴方が直接調べるしか方法はないと思います。
しかし一般的には以下のことが言えるようです。
- この制度による奨学生は卒業年度での獣医師国家試験合格を前提とする。
- この制度によって奨学生として採用されても、それはその県での採用を前提とするものでは無い。言い換えれば、その県の採用試験には自力で合格しなければならない。
- 獣医師国家試験に不合格、あるいはその県の採用試験に不合格となった場合、それまでに給付された奨学金は、ほとんどの場合、一括返済を求められる。
以上、この制度は、獣医師は採用したいけれど、採用試験にも合格できないような獣医師は必要ない、といった厳しい制度だと言えます。
その他、一般の開業獣医師がその動物病院への就職を前提とした奨学金を出している場合もあるようですが、その件数は極く少数だと思いますし、獣医学会としてはその詳細を把握しておりません。開業獣医師の求人サイトなどがあれば、それで探して見て下さい。
なお、獣医系の大学は何処も非常に高い入試倍率になっています。獣医師を目指すのであれば、まず入試の難関を突破しなければならないことを申し添えます。貴方の夢の実現に向けて頑張って下さい。
日本獣医学会理事 谷口和之(岩手大学農学部)