ご質問の件ですが、必ずしも各国の状況を把握している訳ではなく、正確とは言えないかもしれません。少なくとも、ご質問の中にいくつか勘違いがありそうですので、その点を踏まえて回答します。
まず、各国の獣医師免許の与え方は国によって大きく異なります。日本のように国家試験を課している国もありますし、獣医大学を卒業することによって与えている国もあります。もちろんその場合、最終試験も含めて厳しい試験制度があります。また、アメリカのように獣医師会がnational licenseの付与の権限を委託されている国もあります。さらにアメリカでは、開業獣医師になる場合、州の獣医師会による免許(state license)の取得も必要です。
Doctor of Veterinary Medicine (DVM)は主としてアメリカで使用されている獣医師の称号であり(?)(大学卒業時に、学位記にこのように書いてあるのかどうかわかりません。 Ohio ではいかがでしょうか? Cornell では、卒業式に、獣医学部の卒業生をDoctor of Veterinary Medicine と呼んでおりましたので、獣医師の資格と卒業時の学位を同じ名称にしているのかもしれません。この点は申し訳ありませんが不明です。)、日本でもほとんどの獣医師が英語表記上用いていると思います。あなたが書いておられる「Degree of Bachelor of Science in VeterinaryMedicine」は、大学の学士を意味しており、日本では少なくとも「獣医師」であることを示していません(国家試験に合格したことを意味しません)。また、他の日本の獣医系大学の獣医学科卒業生の英語表記は、大学によってそれぞれ異なっているものと思います。それを統一した方が良い、という意見はわかりますが、今のところ、各大学にまかされています。
一方、おそらくイギリスでは、大学卒業によって獣医師の資格が与えられるため、「BVSc: Bachelor of Veterinary Sciences」という表記を用いているものと思います。その他、フランスでも異なる表記を用いていたように記憶しております。これらの違いはひとえに、各国の獣医師資格をどのように与えるか、にかかっているものと思います。
それでは日本人はどの表記を用いれば良いかですが、もし、出身大学の学士、という身分を示したい場合、自分の学位記の英文表記を書くべきだと思います (大学名を含めて)。もし、獣医師、という身分を示したい場合、決まりはありませんが、多くの例に習い、また世界的に獣医師であることが明確なDVMを 用いるのがスムーズである、ということだと思います。
それでは、その表記を統一する必要があるのでしょうか?少なくとも、現在の情勢では、各国とも自国のライセンスを重要視しており、各国それぞれの表記を大事にしております。日本でも正式には日本語で「獣医師」です。英語表記は便利のために用いるものであって、正規の名前はその国の言葉で表記します。外国人が日本の免許試験を受けることは可能ですが、もちろん日本語での試験です。それは獣医師は日本で獣医師としての仕事ができなければならないからで す。アメリカも外国人に対し、国家試験(national license)を受験させていますが、必ず英語試験を課し、それに合格しなければ受験できません。
ということで、現状では統一しなければならない理由があまりない、といったところです。しかし、ヨーロッパ統合時に、各国のライセンスを統一する、とい うことが検討された、と聞いております。これは通貨を統一することと同じ視点で、大ヨーロッパ、という形で共通化した規則を作る、ということに関わって きます。少なくとも、獣医師の専門医はヨーロッパ単位で制度を作りました。もし、これがさらにグローバルになり、世界中で獣医師資格を共通化する、とい う話しが将来出た場合、称号の共通化が話題になると思います。
参考になれば幸いです。
日本獣医学会、一理事より