蚊に刺されることで伝播する犬糸状虫症は、現在では月1回の経口投与で予防ができるようになり、病気に罹った犬を見る機会は少なくなりました。しかしながらこの病気は一旦発症すると完治が困難ですので、蚊の活動期には毎年予防することが大切です。
予防薬はインターネットの通信販売でも入手できるようですが、副作用も報告されているので獣医師の指導に従うのが安心だと思います。
既に犬糸状虫症に感染している犬は血中にミクロフィラリア(幼若虫体)や成虫が寄生しています。このような場合に通常量の予防薬を投与すると、ミクロフィラリア死滅によるショックや、成虫死滅による大静脈症候群(犬糸状虫血色素尿症)などが起こることが知られています。またコリーやシェルティー系の犬は予防薬の成分に対して感受性が高く、通常量の投与でも神経症状を呈して死亡することさえあります。
毎年予防していても前年の予防が万全であったかを確認するために、春先に動物病院を受診してミクロフィラリア検査や抗原検査をした上で、その年の予防薬を処方してもらいましょう。
安田準(岩手大学農学部)