今まで日本では宇宙開発機構(JAXA)が中心となって,スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどを利用した様々な動物実験が行われてきました。
例えば,メダカやイモリの卵を用い,無重力下で脊椎動物の胚は正常に発生できるのか?キンギョの姿勢反射を利用し,宇宙飛行士の多くが罹る宇宙酔はどのようなメカニズムで起こるか?また,トランスジェニックメダカを用い低重力環境で破骨細胞が活性化するメカニズムは?を調べたりする等です。さらに最近では,よりヒトに近いモデル動物としてマウスを用いるための飼育装置の開発も進んでいます。
宇宙は人類が未だ経験したことの無い環境です。そのため動物実験で安全性を十分検証した後,人を送り出す必要があります。そういった意味では,動物実験は今後も必要であり,獣医師もこのような実験を通して深く係っています。また,上記のような実験を自ら立案し,研究者として積極的に宇宙開発に係ることも十分考えられます。
日本大学生物資源科学部獣医学科比較免疫学研究室
教授 森友忠昭
(2014. 7.22 掲載)