■お答え
獣医師としての能力が活用できる国際協力機関を大きく2つに分けると、国連と国際学術研究センターがあります。
国連には、FAO, WHO, IAEAという3つの機関があり、FAO(国連食糧農業機関)では、家畜伝染病の予防やコントロール事業を各国政府と協力して実施し、WHO(世界保健機構)では獣医公衆衛生分野(狂犬病など)でFAOと同様の技術普及や予防事業の推進、また、IAEA(国際原子力機関)では原子力の平和利用という観点から、ELISAやPCR法を開発し、家畜の妊娠や伝染病の迅速診断技術の開発・普及を行っています。
国際学術研究センターのひとつに、国際家畜研究所(ILRI)があります。本部はケニア国ナイロビ市に設置され、分子レベルの先端的研究だけではなく、途上国における貧困緩和を推進するための小規模酪農業の推進など畜産農家の生活向上に直接役立つ応用研究にも関わっています。
上記機関の正規職員として継続的に勤務することも可能ですが、数年の契約で勤務されている日本人職員もいます。また、農林水産省の職員(獣医職)として入省し、上記の国際機関へ数年、出向されている方々も多数おられます。詳細については、小澤義博、佐々木正雄 著「国際獣医学の潮流」、帯広畜産大学(2006年)を参考にしてください。
門平 睦代(帯広畜産大学) |