人獣共通感染症 連続講座 第3回 5/24/95

ザイールでのエボラ出血熱についての情報

Promed (Program for monitoring emerging infectious diseases)ネットワークより

  1. ザイールでのエボラ出血熱: CDC勧告メモ 5月12日
    ザイール政府と世界保健機関(WHO) はザイール、バンダンドウ州キクイット(キンシャサの南東約250マイル)と周辺地域でのエボラ出血熱の異常な発生を報告した。 エボラウイルスによる出血熱の潜伏期(症状発現までの時間)は2〜21日間、平均1週間である。 症状は突然の発熱と頭痛を特徴とする。 熱の持続、頭痛、全身の不快感、筋肉痛、関節痛、のどの痛みに引き続いて普通、嘔吐、下痢、腹痛が起こる。一過性の麻疹様発疹が発病の最初の週の終わりにしばしば出現し、これはうろこの様になってはげ落ちる。内臓の出血、激しい臓器障害から死亡することがある。

    本病の伝播は主として汚染した注射器および重症患者との密接な接触による。伝播は普通、ウイルスに汚染した血液、分泌物、臓器または精液により起こる。 それ以外では、感染のリスクは非常に低いと考えられている。 潜伏期の人は周辺の人に対してあまり危険はないものとみなされている。

    ザイールへの旅行者が普通の環境で感染する危険性は低い。 危険を免れるために、旅行者は上記のエボラウイルス汚染地域はさけるべきである。 ザイールへの旅行者はキンシャサに到着した後、米国大使館に連絡して、さらに情報を入手するべきである。

    さらに新しい情報を得るためには、CDC International Travelers VoiceInformation Service (tel: 404-332-4559)に電話を掛け、最初に1番を押し、ついで4番を押せば、ザイールでのアウトブレイク・メニューが聞ける。 またはCDC Fax Information Service (Fax: 404-332-4565)でdocument #2210009を請求しても良い。

    本メモを受け取った衛生部局、旅行業者、航空会社、船会社は今後の旅行者に本メモに述べられた勧告を通知すべきである。
    Brian Mahy, Director, Division of Viral and Rickettsial Diseases,National Center for Infectious Diseases

    Charles R. McCance, Director, Division of Quarantine, National Centerfor Infectious Diseases

  2. ワシントンポスト5月12日版からの抜粋
    キクイットに到着したWHO職員によれば350床の病院で約20人の患者以外、ほとんどの犠牲者が放置されており、暴露されたと思われる多くのスタッフ、介護者が逃げてしまっているとのこと。病気の封じ込めへの期待を述べてはいるが、周辺でさらに発生することも予想されるという。

    キクイットの病院で働いていた48才のイタリア人修道女が木曜日に死亡し、ほかのふたりが重症だが容体は安定している。ほかの12人の修道女はそこで仕事を続けている。
    WHOによればCDCアトランタで血液サンプルをテストした結果、ウイルスを同定したとのこと。
    キクイットの2番目の病院、ムサンゴ病院、ヤッサ/ボンガ病院でも本病がみつかった。 いずれも最初のキクイットの病院から移された患者を受け入れている。 ムサンゴはキンシャサへの道路に沿ってキクイットの西約60マイルの地点にある。 ヤッサ/ボンゴ病院の位置は明らかでない。
    キクイットでは学校、診療所は閉鎖され、航空便はキャンセルされた。仕事はストップ。 汚染したバンダンドウ州から首都キンシャサへの人の移動はすべて禁止されている。

  3. ザイールで感染した一人のイタリア人修道女に接触した女性がイタリアに帰国し、入院したとのニュースが流された。
    この情報に対して葬儀に出席した親戚のことだが、彼らは病院に隔離されたが病気ではないとの回答が寄せられている。

Kazuya Yamanouchi (山内一也)

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