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Q:野生に還す活動について教えてください

こんにちは。私は、野生動物の保護活動に将来携わっていきたいと考えている者です(今大学受験を控えた受験生です)。最近、よく動物園や水族館が、野生動物の保護に大きく貢献していると聞きました。ですが、私にとって、ほとんどの動物園や水族館は、動物たちを狭い場所に閉じ込めている、動物にとって生き地獄のような存在ではないかと思ってしまいます。そんな中で、生活させる事では、動物たちがかわいそうですし、第一人間に慣れて、野生に還すことなんてできるのでしょうか?

そこで質問なのですが、そういった施設や、他の団体の方たちは、どうやって保護活動を行っているのですか?保護活動の中でも特に、繁殖させた後の、野生に還す活動について教えていただければ幸です。

お答え

確かに昔の動物園のイメージとしては狭い場所に多くの動物を飼育しているイメージがあり,「かわいそう」という感情が生まれるのも無理はないかも知れません。しかし現在では,動物園は単に動物を飼育・展示するだけの施設ではなくなってきているのです。

人間による環境破壊によって,世界中の野生動物が生息場所を追われています。その中でも特に絶滅が危ぶまれている種が幾つかあり,それらはもはや人工的に繁殖させ,増殖させる必要性に迫られています。まさに動物園はその役割を担うところとして注目されているのです。

しかし,野外と動物園では生息環境が全く異なっているのではないか?飼育している頭数が少なければ子どもを作ることが出来ないのでは?と言った問題が浮上してきます。さらに頭数を増やすことが出来たとしても本当に野外に還すことが出来るのか?と言う大問題が待っています。

現在,動物を出来るだけ自然に近い環境で生育できるように,動物園の展示方法が変化しています。また動物園間で動物の血統登録を行い,繁殖のために長期にわたって他の動物園へ動物を貸し出すなど,動物交換による計画的な繁殖といった対応が行われています。上野動物園のゴリラの住む森やトラの森,多摩動物公園のオランウータン舎などが正にその目的のために新たに設置されました。また狭い飼育場所でも動物本来の行動を引き出させるような飼育方法を研究して採用する動物園(今もっとも注目されている旭山動物園などです。)も見られるようになってきました。さらに野外への再導入を行うためには,大学や野外調査が専門の研究者とも協力し合いながら進める必要があります。欧米ではコンドルやオオカミなどの野生への再導入も試みられており,日本においてもコウノトリの野外放鳥が実施されようとしています。この様な取り組みはまだ始まったばかりで実施例も少なく,動物種によっては野外導入がとても困難であることが予想されます。しかし野生動物の絶滅を防ぐために,多くの専門家が最先端の技術を駆使して努力を進める必要があるでしょう。この様に動物園の持つ意味が以前とは異なり,様々な面を映し出しています。かつては展示目的として狭いところに飼われていた動物園の動物達は,今では環境保全の大切さを勉強するための対象へと変わりつつあると言えるでしょう。

岩手県環境保健研究センター・山内貴義

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