The Japanese Society of Veterinary Science
 
Q&A > 野生動物・動物保護・仕事について

Q:野生動物の保護をしたい

初めまして、現在学生の二十歳です。このホームページのQ&Aを見させていただきました。私にとって大変ためになる内容ばかりで、とても理解しやすかったです。ありがとうございます。
私は、野生動物の保護をしたいという夢があり、またアフリカでその活動をしたいと考えていましたが、どのようにすればよいのか?をずっと追求していくうちに、とても複雑なものだということがわかりました。またこのQ&Aを拝見して、よくわかりました。そして私も色々な疑問点があり、質問をさせていてだきていのですが、Q&Aの質問の仕方がわからなったので、メールをさせていただきました。
私は少し前まで、動物看護士になろうと考えていました。そしていつかはアフリカの動物保護区で動物を助けたい、と容易に考えていました。しかし動物に直に触れて、治療や世話をするのはやはり獣医にならなければならないと、自分なりに理解しました。また、私は動物保護をするとういうことは、獣医として動物を直に助けることだけでなく、自然環境を保護する事も動物保護という役割に大きく関係していると思いはじめました。
現在、私は関西にある大学の農学部の国際資源管理学科にいます。今まで、大学院に全く興味がなく、どんなものなのか、本当にわかりません。しかし、私は今大学院に進もうと思い始めています。そこで研究をし、私の夢に近づけたらと考えています。そこで、私が疑問に思っていることは、まず、
1. 動物保護をする上で、自然環境の保全にはどのような研究があり、その研究が動物保護にどのように結びついているか?
次に
2. 大学院にでた後、教授以外に私が望むような仕事にはどのようなものがあるか?
そして
3. Q&Aに記載されていたようにたくさんの大学院がありますが、どのように学校を選べばよいですか?やはり学習レベルなどは研究した後の仕事に関係していますか?私の学校のような、レベルは高くありませんが、自然環境の大学院がある学校では、動物保護をするには不十分なのでしょうか?
どのように進めばよいのか大変悩んでいます。個人的な質問で申し訳ありません。
どうか返答の方をお願いします。
長い文章になり申し訳ありません。見ていただきありがとうございました。

お答え

ご質問者が野生動物保護に情熱を持っていらっしゃることはよくわかりました。そのモチベーションを末永く持ち続けていただければ、野生動物保護は1歩でもいい方向に進むことでしょう。既にお気づきのことだと思いますが、野生動物を保護する、あるいは保護管理(Management)する手法としては、いろいろなアプローチがあります。そのベースとなる学問には、生態学、動物学、環境科学、保護管理学、生理学、獣医学、動物看護学などがありますし、必ずしも自然科学のみならず社会科学からのアプローチもあると思います。したがって、野生動物保護のためには何が何でも獣医学を修めなければならないということはなく、他の学問をやっていてもそのチャンスはあります。ただ問題なのは、そのような職業が他の職業に比べてとても少なく、野生動物保護で生計を立てていける人はそう多くはありません。前にもこのQ&Aコーナーに記しましたが、海外となるとなおのことそのようなチャンスは少なくなります。その国その国で、野生動物保護に興味を持つ学生や市民はたくさんいますので、その人々を差し置いて日本人が職に就くには、それなりの利点(ずば抜けて能力が高いとか地元の人々と対等な語学力があるとか)がないと雇ってはもらえないと思いますし、実際海外で野生動物保護の職について活躍している人は私の知る限りおりません。まずは、日本国内でしっかりと野生動物に関する知識や技術を身につけて、国内の野生動物保護あるいは保護管理を実践されることが肝心で、その中で海外に進出するチャンスは生まれることでしょう。以下に一つずつ回答します。

1. 上に記した通りで、様々な学問的アプローチがあります。ここでその一つ一つを記すことはできませんが、とくに生態学や動物学、それに獣医学という学問は、野生動物保護に直接つながるような研究や教育の機会を与えてくれます。もし直接そのような機会を得たければ、日本で毎年開催されている日本哺乳類学会(http://www.mammalogy/)、日本生態学会(http://www.esj.ne.jp/esj/)、日本野生動物医学会(http://www.jjzwm.com/、同学生部会http://www.gakuseibukai.org/)などの学術集会に参加されることをお勧めします。多くの場合、まず学会員になることが前提になりますので、ホームページを見られたらいいと思います。

2. あまり多くはありませんが、各地方自治体(県や市町村)が有する鳥獣保護センターや環境科学研究センター、ならびに鳥獣保護係などの公務員、環境省の国立公園レンジャー、各動物園の獣医師や飼育係、博物館などの学芸員、民間の野生動物研究所((財)自然環境研究センタ-、(株)野生動物保護管理事務所など)が考えられます。

3. 大学のレベルはまったく関係ないと思います。むしろあなたがどのようなアプローチで野生動物保護に係りたいのかによって大学を選ばれた方がいいと思います。例えば、帯広畜産大学、北海道大学フィールド科学センター、岩手大学農学部、岩手県立大学総合学部、宇都宮大学農学部、東京大学総合博物館、東京農工大学、東京農業大学農学部、山形大学、信州大学農学部、新潟大学農学部、名古屋大学農学部、京都大学理学部および霊長類研究所,奈良教育大学自然環境教育センター、香川大学教育学部、琉球大学理学部および農学部などの野生動物(哺乳類)の生態学者が、帯広畜産大学、北海道大学、酪農学園大学、日本大学、日本獣医畜産大学、岐阜大学などに野生動物の獣医学者がいます。詳細は大学のホームページや商業雑誌などで調べてみてください。

岐阜大学 坪田敏男

(2005. 6. 2 掲載)

日本獣医学会事務局
officeco@jsvs.or.jp | Fax: 03-5803-7762
〒113-0033 東京都文京区本郷6-26-12 東京RSビル7階

Topページに戻る