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Q:獣医師免許を持たずにペットに外科手術

自分の所有するペットに対して、獣医師免許を持たずに外科的処置をすることは法的に問題が生じますか?
例えば皮下に溜まった膿などを切開排膿するなどの処置はどうでしょうか?

お答え

 獣医師でない方が所有するペットに対して、外科手術を行うことは、診療を業務とする行為にあたりませんので、獣医師法17条で規定される「飼育動物診療業務の制限」には抵触しないと思われます。ただし、その外科的行為が動物に対して過度な身体的、あるいは精神的負担をかけるものであれば、別の法律である「動物の愛護及び管理に関する法律」に抵触することになるかも知れません。
 ご質問の例から考えますと、体に膿がたまる状態(膿瘍)は自然に発生するものではありません。膿瘍の原因は最も単純にはケガですが、深刻な場合には悪性腫瘍の合併症であるかも知れず、その診断は容易ではありま­せん。ペットがあまり長生きしなかった数十年前まででしたら、悪性腫瘍の発症頻度が低かったことから、膿瘍のほとんどはケガが原因だったでしょう。獣医学的な知識を持たず、原因を究明することなく飼い主の独自の判断で動物に対して負担をともなう治療行為を行うことは、好ましくありません。さらには治療中に適切な鎮痛薬を使用することや治療後に抗生剤を投与することもできません。このような状況で家族が良かれと思って実施した行為が、結果的に動物を虐待することと似た状況になってしまうのではないかと危惧されます。
 以上のことから、他に手段がないのなら仕方がありませんが、最寄りに動物病院があるのでしたら、動物愛護精神が発達した現代においては、獣医師に外科的処置を依頼することが動物福祉に叶った行為と考えられます。

日本大学 生物資源科学部 獣医学科 獣医放射線学研究室
中山 智宏
(2018/1/11 掲載)

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