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Q:猫伝染性腹膜炎(FIP)のウイルスを消毒するには?

 先日、生後8ヶ月の猫をFIP(ドライタイプ)で亡くしました。動物病院の先生から、FIPと診断されて、1週間で息を引き取ってしまいました。
 とても、寂しくて、新しい猫を飼いたいのですが、亡くなった猫は、完全室内飼いの為、室内には、FIPのウィルスがまだ生きているのかが、不安です。できれば、室内の消毒法等も教えていただければと思ってメールいたしました。
よろしくお願いいたします。

お答え

 猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫コロナウイルス(CoV)によって引き起こされ、猫科動物が感染する病気です。症状によって腹腔や胸腔に水が溜まるウエットタイプと眼や神経に病変を起こすドライタイプがあります。CoVが感染してから発病するまでは、免疫という体を防御する仕組みを巧みに利用するためにとても複雑な経過をたどります。その為、診断が難しくFIPであることを証明するには死後の組織検査が唯一の診断方法です。ウェットタイプは発症すると短期間で死亡してしまいますが、ドライタイプは慢性経過をとって比較的長生きできる場合があります。但し、6ヶ月未満の仔猫の場合はドライタイプでも神経症状が起こり、即座に死亡する例があります。動物病院では、血中の抗体を測定して、症状と照らし合わせながら、FIPを疑い治療していくのが一般的です。非常に限られてはいますが、大学などの専門機関では、遺伝子を使ったCoV-RNAの検出や、バイオプシーといった生きたままの細胞を取り出しウイルスの存在を確認することができます。ただ、CoVの存在(感染)とFIPの発病とは全く違います。多くの場合、感染しても症状の出ない不顕性感染のかたちをとります。ここが、この病気の厄介で難しい所なのです。一般の方々に解りやすく説明すると、猫CoVにもたくさんの種類があり異なる猫CoVに感染すると発病しやすくなります。しかし、仔猫を譲り受けたり、購入してから完全室内一頭飼育で、他の猫と接触してなくても発病することがあります。どんな健康な猫でもCoVに感染していると考えられていますが、CoV分離が非常に難しい為、その割合は把握できていません。ドライタイプに関しては、5歳以下であるのに歯茎が赤くなって口臭が酷く、犬歯が非常に長くみえたり、眼の中におかしな状態が見られたりした場合は動物病院の先生に相談して抗体価を測定してもらうと良いでしょう。但し、抗体が陰性でもFIPを発症する例もありますので、抗体測定はあくまでも参考程度と考えてください。

 FIPの感染様式と診断に関する研究のために、過去1年間に全国から20 FIP症例を集めウイルス分離などを行っています。この中でドライタイプの2例は6ヶ月齢以下の死亡した子猫で、いずれもCoVを分離しました。
 上記のようにFIPは複雑な発症経路をとりますが、今日、ネコを使用した感染実験が困難になり、その分FIP解明に支障をきたしています。それゆえ、理解あるオーナーの協力がFIP研究には不可欠です。

 CoVは消毒用アルコールや次亜塩素酸ソーダの噴霧もしくふき取りで容易に不活化することが出来ます。
CoVは糞便中にも排泄されるので適切に処理することが大切です。処理の時に園芸店などで販売されている消石灰をふりかけると消毒になり、ハエなども集まりません。

岩手大学 獣医微生物学教室 山崎 聡、平野紀夫

連絡先 日本獣医学会事務局
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