The Japanese Society of Veterinary Science
Q&A > 獣医大学・免許について

Q:海外の獣医系大学院について

質問1:
国際公務員を目指す場合、一つの選択肢として海外の大学院への正規の進学も考えているのですが、主要欧米諸国では、国内大学院とは違い、やはり獣医学科卒業では修士相当とは認められず、修士課程にまず進学しなければ ならないのでしょうか?

質問2:
また、米国などは獣医学教育がもっぱら専門職大学院で行われていますが、 感染症のような非臨床分野の研究がしたい時は、海外ではそれらの分野の研究者は獣医系の大学院にはいないのでしょうか?公衆衛生などの大学院への進学となるのでしょうか?

お答え

回答1 :
以下、1)国際公務員を目指す場合に修士号があった方がいいか
   2)主要欧米諸国で日本の獣医学科卒業が修士号相当と認められるかどうか
の2点についてお答えします。

1)修士号はあった方が良いです。どの国際機関に入りたいかにもよるかもしれませんが、医療・健康関係のところではMaster of Public Health(MPH)などの修士号はもはやパスポートのようなもので、ほぼ必要不可欠になってきていると感じています。日本の公務員として国際機関に派遣される場合はまた話が変わってきますが、専門職員として直接国際機関に入る場合は修士号か博士号は必要だと思います。
2)日本の獣医師資格は、アメリカのDoctor of Veterinary Medicine(DVM)と同等だと認めてもらえます。つまり修士相当ではなく、博士相当(doctoral degree)とみなされるということです。これは、アメリカで獣医師や医師になるためには、博士号を取るのと同様に、4年制の大学卒業後大学院に通わなくてはいけないからです。必要があれば、第三者機関に日本の獣医学部の成績証明書(英文)などを有料で審査してもらい、証明書をもらうこともできます。アメリカの修士コースなどに応募する際に証明書の提出を求められることがあります。
以上のように日本の獣医師資格はdoctral degreeだと認められるので、修士号を取った方がいいというアドバイスは矛盾があるように聞こえるかもしれません。しかし、国際機関で求められているようなスキルや知識、経験を得るために、「専門職修士号」を取っておくのはとても良いことだと思います。「専門職修士号」とは、Master of Public Health(MPH)、Master of Health Administration(MHA)、Master of Business Administration(MBA)など、卒業後すぐに実務で役立つスキルを学ぶことができるプログラムです。日本人が通常想像するような、研究に主眼を置いた修士号(Maseter of Science)とは少し毛色が違います。私は日本で獣医師資格を取得したあとすぐにアメリカのEmory Universityの2年制MPHプログラムに入学しました。公衆衛生や疫学研究の基礎から応用をしっかり叩き込んでもらい、1年目と2年目の間の夏休みにはWHOにてインターンをし、卒業後はCDC(米国疾病管理予防センター)に就職して感染症のサーベイランス、アウトブレイク対応、疫学研究などを担当しました。私が獣医学科に通っていたころは、こういった機関で必要とされる公衆衛生や疫学の知識やスキルは授業でほとんど扱われていなかったので、MPHというステップを踏んでよかったと思っていますし、だからこそこういった機関に採用してもらえたのだと思います。
質問には明記されていませんでしたが、博士課程へのご進学もお考えなのかなと思いましたのでご参考までに、私はその後Yale Universityの感染症疫学学科のPhDコースに進みました。しかし、獣医学科卒業後すぐに米国の公衆衛生系のPhDプログラムに出願したときは、どこにも合格しませんでした。学部時代に分子ウイルス系の研究をしていたので、BiologyやImmunologyなど基礎科学系の学科からは合格を頂けたのですが、公衆衛生系のプログラムは軒並み不合格でした。現場での職業経験がなく、MPHも持っていなかったことが大きな原因だったと思います。このように分野によって求められるバックグラウンドがかなり違うので、博士課程進学を視野に入れていらっしゃる場合は先輩に聞くなどしてよく情報を集められると良いかと思います。私でお力になれることがあればご相談に乗りますのでいつでもご連絡ください。
(Yale大学博士課程 塩田佳代子)

回答2 :
​感染症の基礎研究をしているラボは、ほとんどの獣医系の大学院にあります。公衆衛生大学院にももちろんありますが、動物の感染症をやりたい場合は獣医系大学院に進学した方がいいと思います
(Yale大学博士課程 塩田佳代子)

(2018.3.27 掲載)

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