The Japanese Society of Veterinary Science
 
Q&A > 獣医師の仕事について

Q:獣医師の感染症への関与について

現在韓国で発生しているMERSに挙げられるような人体に重篤な悪影響を及ぼす共通感染症が日本で発生した場合,医師は発症した人間を治療することで感染の拡大を防ぐことができると思いますが,獣医師の立場から何かできることはあるのでしょうか。
MERSのように原因となる病原体を持つ動物が海外にいる場合と,国内にいた場合の2通りについて,教えて頂きたいです。

お答え

ご質問ありがとうございます。
獣医師の場合,動物側からの感染症の制御が中心になります。例えば,感染源が動物の場合,その感染症の拡大を防ぐために感染源動物の確保,抑留(移動制限),場合によっては淘汰を行います。伴侶動物では,人に重大な影響を及ぼさない場合は治療を行います。また,本当にその動物が感染源であるかを科学的に確かめる必要がありますので,動物から採取した材料(糞便,唾液,血液,臓器など)を用いて、病原体を分離したりその遺伝子や抗体を検出したりします。さらに,感染症の拡大を防ぐために,場合によっては動物にワクチンを接種し,地域市民に対して予防啓発活動を行います。
海外で流行している病気の場合,国内に入ってこないように未然に防ぐ必要があります。そのためには,空港や港湾で厳重な動物検疫を行います。これは,農林水産省に所属する獣医師資格を持った検疫官が担当しています。国内では,法律に基づいてさまざまな感染症の予防が行われています。口蹄疫や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の場合,各自治体に家畜保健衛生所という機関が有り,そこが感染症発生時には素早く対応することになっています。また,定期的に家畜伝染病の調査や診断を行い,発生を未然に防いでいます。動物保護センターあるいは動物愛護センターなどでは,保健所と協働して狂犬病をはじめとする人獣共通感染症の発生予防,あるいは犬・猫などの動物を対象とした病原体の保有調査などが行われています。
動物衛生研究所や国立感染症研究所などの研究機関にも多くの獣医師が所属しており,さまざまな感染症の基礎研究,疫学研究,診断や予防法に関する研究を行っています。
このように、獣医師は多くの感染症の発生予防に関わっています。

日本獣医学会広報担当理事 教授 
丸山総一

(2015. 8.26 掲載)

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