The Japanese Society of Veterinary Science
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(2001年~2004年当時のご質問と回答です。現在の状況とは違うことがあります。ご了承ください)


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獣医師の仕事


獣医大学・免許


ご質問  最近公園でイヌ・ネコのフン害に困っています。
自治体に相談しても「飼い主のモラルの問題」としか回答されずなんの解決にもなっていない現状です。条例でもあればすこしは改善されるかもしれませんが、残念ながらわが市にはそういった動きが見えません。
自分の飼い犬への寄生虫感染も怖いですし、植物にもなんらかの影響があるのではないか(犬の糞尿は酸度が強いと聞いた覚えがあります)と思うのですが、人糞や牛糞が堆肥として活用されているのでイヌネコの糞も肥料になると勘違いして公園に埋める人が案外多いのです。
それにごく一部の悪い飼い主のせいで動物を飼う人全部が悪く見られてしまうのが迷惑でなりません。常識を常識と捉えられない人が増えている今、理詰めで行くしかないと思いました。
犬や猫の糞尿の性質と、それを放置する(地中に埋める)事によって人を含めた動物や植物に与える影響をお教えください。よろしくお願い致します。 2004/12/27
お答え  健康な飼い犬や飼い猫という前提で、まず獣医学的見地から犬猫の糞尿についてご説明します。
犬と猫の尿のpHは4.5~7で酸性リン酸塩を含むため酸性を呈します。ちなみに人は5~8で同じようなものですから、犬猫の尿は特別に酸性が強いというわけではありませんので、何か特別に犬猫の尿は問題があるというわけではありません。したがいまして、たしかに公園などの鉄柵など、犬の排尿を誘うような位置に立っている金属製の柱などは、毎日多くの犬たちに尿をかけられることで3ヶ月とか半年といった間には次第に錆びていくのはよく知られていますが、公園の草花などでたまに尿をかけられる程度では枯れてしまうほどの強い酸性ではありません。話を尿の性状に戻しますと、このほか、健康な尿は、人と同じように、蛋白質も糖も陰性です(もっとも、蛋白質については雄の尿にはごく少量の精液分泌液が混ざってきますので蛋白質の尿検査を行うとプラス・マイナス程度あるいはプラス1程度の蛋白質陽性という結果になってあらわされますが、病的なものではありません)。また、健康な動物の尿は細菌(いわゆるバイ菌)も存在しません。おおむねこのようなわけで、健康な人の尿は医学的に通常は何の問題もないのと同じように、健康な犬猫たちの尿には獣医学的に通常は何の問題もありません。しかし、そうだからといって、やはり排泄物ですから、衛生上は問題でしょう。自分の尿でさえも誰もが触れたくないのと同じように、人が犬猫の尿に触れないほうがいいに決まっているわけです。もっとも、尿の処理の時にそれらに触れてしまってもそのあとに石鹸でよく手を洗っておけば衛生上も問題になることはありません。話をまとめてみますと、土にしみこんだ犬や猫の尿は土の成分と混ざり合って土と同じpHになっていきますので、問題になることはありません。
次に糞についてご説明します。健康な犬猫の糞は獣医学的には通常何の問題もありません。もちろん腸内細菌が存在しますが、健康な糞便ならば問題になる病原性の細菌は存在しません。しかし尿と同様に排泄物ですから、衛生上は問題です。ですが、糞を土に埋めたとき何十日かのちには土壌中の細菌によって分解されて土に返っていきますので、健康な動物の糞ならば土に埋めること自体は問題ありません。自分の犬のした糞を知らん顔して置き去りにする不届きな飼い主に比べれば、埋めていく飼い主のほうがまだましと言えます。とはいうものの、回収して持ち去ることをしないで、公共の場所である公園内に埋めていくこと自体、モラルが低いといわざるを得ませんが。話をまとめますと、健康な動物の糞は土に埋めても問題はありません。
次に問題になる場合についてご説明します。それは糞に病原体が存在するときです。こんにちの日本で問題になる病原体は寄生虫で、犬猫の回虫は人にも移るので問題なのです。それらは犬回虫と猫回虫です。これらの寄生虫の犬や猫の中での蔓延の高さは地域差が大きいのですが、犬猫の飼育頭数の多い都市部では犬猫間の感染の機会が多いこともあって地方よりは蔓延しています。ただし、これらは成人にはまず移ることはありません。しかし、低率ですが幼児に移ることが知られているのです。それは低率でもあってはならないことです。どのような時に幼児に感染するかといえば、実際的には公園の砂場遊びのときが問題なのです。犬猫は多くの場合排便するとその糞を穴を掘ったり土をかけたりして隠そうとする本能的習性を持っています。このときに砂場は掘りやすいのでしょう、好んで砂場で排泄する習慣が付くようです。こうした排泄物は月日が立つうちに乾燥したり雨に溶けて砂にまぎれていき、糞としての形はわからなくなります。こういったときに、回虫寄生の犬猫の糞便内には回虫卵が混ざっていますが、これが砂にまぎれます。ところが虫卵は乾燥と低温に強く、わずかな湿気で何ヶ月も生きていられます。冬でも土や砂の中のほうがやや暖かいので、雪が降ったくらいでは死に絶えることなく虫卵は生きていられます。そうして、幼児が砂場遊びをしているときに手足に付着して、幼児のことですから砂のついた手で口をぬぐったり、砂は払ったとしても汚い手でものを食べたりするなどして、虫卵が口に入る機会は少なくありません。糞塊として見えれば親御さんも直ちに砂場遊びをやめさせるでしょうが、糞は溶けてるので目には見えません。こうして、幼児が犬や猫の回虫に感染してしまいます。大阪で公園の砂場の砂の中の虫卵検査をしたところ約8割の砂場から検出されたと報告されています。犬猫を飼っている飼い主は規則とマナーを守って飼い、毎年必要なワクチン注射やいろいろな検査を獣医科病院で定期的に受け、自分の犬や猫の体調に何かあればすぐに獣医科病院に診察を受けに来るまじめな飼い主が大部分です。ごく一部に、夜になると犬を放して好き勝手に徘徊させ、寄生虫にかかっていてもよほど症状が進まないうちは病院にもいかないといった困った飼い主がいます。まさに、ご指摘とおり、ごく一部の困った飼い主により、犬猫の飼い主の全体のモラルが低いと思われているのが実態です。現在までのわが国での犬回虫や猫回虫の感染と診断された患者(幼児)の数はとても少ないのです。しかし、とはいうものの、あってはならない重要な問題ですから、10年ほど前から日本寄生虫学会(医師を中心とした学会です)では犬猫からの寄生虫感染を防止するために、厚生労働省とともに県市町村に対して地域環境対策、感染防止対策の推進をさかんに指導してきています。また、日本獣医学会、農水省や日本獣医師会も犬猫の飼い主のモラル向上を図って、法規(動物の愛護及び管理に関する法律、12年12月1日施行、など)を遵守した犬猫の適切な飼い方の啓蒙活動を推進しています。たぶん質問者の方はその効果のほどにはかなりの疑問を感じおられるかもしれませんが、かなり効果を挙げてきているのです。
ここで、参考までに、日本寄生虫学会が推奨する簡易的砂場消毒法を簡単にご説明しましょう。それは、天気のよい日を選んで、ごみ袋用に用いる黒のビニール袋(黒でなくてはならない)を、消毒しようとする砂場の面積よりも大きい面積になるようセロハンテープで繋ぎ合わせてビニールシート状にして、それを砂場にかぶせて、周囲を石や砂などで押さえて空気の流通を防いで、できたら一日中かぶせたままの状態を維持します。すると内部の温度は60℃以上にも上昇するので、この高温状態を持続させることで虫卵を死滅させることができます。同時に、砂の中の種々のバイ菌も消毒されます(これは牛乳を殺菌する方法のひとつに低温殺菌法というのがありますがこれと同じ原理であり、パスツールが考え出したことからパスツール消毒法ともいわれます)。数日置いて再度実施すれば完璧です(ただし、実際には月に1度というように定期的に実施したほうが実用的です)。これは砂場だけでなく、穴にうずめた糞を早く消毒したいときに応用でき、糞の量が少なければビニール袋1枚でできます。もしも参考になりますならばお試しください。
以上、お答え申し上げましたが、ご納得いただける部分が少しでもありましたならば幸甚です
山口大学農学部 早崎峯夫
ご質問 はじめまして。
私は獣医学科在籍中の学生で、現在5年生(女性)です。
そろそろ就職のことを考える時期となりましたが、いろいろと迷いがでてきました。

私は将来、小動物臨床へ進みたいという気持ちはあるのですが、個人の動物病院への就職に対して不安があります。
現在の日本では、小動物臨床に従事するには、将来いずれ開業をしなくては道はないのでしょうか?今の段階で、開業などはまだ全く考えられないですし、できれば勤務医で一生やって行きたいという希望があります。
しかし、実習などでいろいろな病院を訪れましたが、勤務している獣医師は20代から30代前半の若い方しかいませんでした。小動物臨床である程度経験を積むと、皆さん開業されるのでしょうか? 開業しない方はどうされているのでしょうか?
勤務はパートぐらいで、給料もある程度限られたものになってしまうのでしょうか?
大きい病院では、分院長を任されたりすることもあると聞きましたが、確実にそれになれるという保障はないと思います。
また専門や得意分野を持つと、雇ってくれる所もあると聞きましたが、どの程度確実なものか分からないです。
先の事を考えると、公務員や企業の方が安心なのかもしれないと思ってしまいます。
でも仕事内容として、実際興味があるのは臨床の方です。
こんな感じなので、今はどっちにも決められない状態です。
大学の先生方にも聞いたりしましたが、はっきりわからないということでした。

これからも日本はペットが増える傾向であると思います。
また獣医学科の学生も女性がどんどんと多くなっているので、獣医師の職場がこれからどう変化していくか?ということも知りたいです。2004/12/22
お答え 以下に貴女の卒後の就職に関してのご質問にお答えいたします。此の答えはあくまで個人的な意見が中心になりますのでご理解頂きたいと思います。
先ず、
  1. 小動物臨床に進むと将来何れ開業しか道は無いのでしょうか?

    現状は待遇は別にして、むしろ勤務医として継続的に勤務ができる方が臨床現場では求められています。待遇面も大幅に改善されてきていますが、まだ温度差があるのも事実です。しかし、これは勤務する側の技量の差によることも事実です。やはり、高給での勤務を要求するならば、それ相当の努力も必要でしょう。

  2. 勤務している獣医師は20代から30代前半の方が多いですが?

    確かに多くの病院の勤務している獣医師は若い方が多いですが、現在では一部の先生は継続して勤務を希望される先生も増えているのも事実です。むしろ、勤務している先生の方が独立を強く希望しているのではないでしょうか?その要因の一つが待遇面かもしれません。しかし、このことは何れにしても徐々に改善されてきていますので、早晩勤務医が主流になる日も近いと思います。ヒトの医療でもそうであったように。

  3. 臨床と公務員、企業など将来進むべき道を迷っているが?

    当然かと存じます。何れの道も完全とか確実な道はあり得ないと思います。只言えることは、公務員等の道に進み安定を選択するか、少々の波を覚悟ですきな臨床の道を選ぶかだと思います。小生は臨床に進みましたが決して後悔はしておりません。殺伐とした世の中になるほど心を癒してくれる伴侶動物との生活は増えると同時に重要になるのではないでしょうか?良くお考えいただきたいと思います。

  東京農工大学・山根 義久

ご質問 突然メールをお送りして失礼します。私は高校一年生で獣医師という職業に興味を 持っています。質問は、獣医学部では、解剖の授業が行われていると思うのですが、 その解剖に使われている動物はどこからきたのかということです。獣医師になるため の勉強は、そういう授業で使われる動物たちのおかげで成り立っているのだと思いま す。動物の遺体を飼い主の許可を得て使用しているのならいいのですが、たとえば保 健所で処分されてしまった動物が大学にまわされていたりしたら、心が痛みます。ど うしても現状はどうなのかを知りたいので 、どうかお答えください。

お答え 他大学の現状はよくわかりませんが,私の所属している大学では,解剖学実習に使用するイヌは,すべて実験動物として繁殖・育成されたビーグル犬を使用しています.ネコは使用していません.現在イヌやネコを動物実験用に払い下げている地方自治体はごくわずかで,その払い下げも数年以内に中止するということです.従いまして,もしそのような動物を実習に使用している大学が現在あったとしても,それもまもなくすべて実験動物として繁殖・育成された動物を使用することになると思います.

東京農工大学獣医解剖学研究室・柴田秀史

ご質問 初めまして、私は現在オーストラリアのメルボルンにある専門学校Box Hill Institute of TAFEでCertificate 4 Animal Technologyというコースで勉強をしています。
日本で動物関係の勉強、仕事一切ないのですが、以前から動物が好きでたいへん興味があり、現在非常にこのコースに満足しながら勉強に励んでいます。今年の12月にこのコースを卒業する予定です。その後日本で動物の研究機関、獣医学の大学などで英語を使いながら、更に今までの勉強の活かし、そして日本での動物分野に触れることができるような仕事がしたいと考えているのですが、そのような人材募集の情報など詳しいことを知るすべがないので、もしご存知でしたら教えてください。よろしくお願いします。

お答え  Animal Technologyのコースでどのようなことを学ばれているのか具体的に分からないところがあるのですが、日本で動物(哺乳類)に触れることができるような仕事について回答します。余談ですが「Animal Science」は日本語では畜産学・応用動物学といい、動物を利用することを目的にした教育研究分野を意味します。日本語の動物学は「Zoology」のことで、ウニ、ヒトデなどから昆虫、魚類、両生類、は虫類、鳥類、哺乳類まで広く動物門全般をあつかう基礎的な学問のことです。
一般に「動物」といった場合、産業動物、コンパニオン動物、野生動物が考えられます。産業動物とは、主にヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタなどの牧場で飼育されている家畜とニワトリ、ウズラ、ハトなどの家禽(かきん)をさします。コンパニオン動物とは、主にイヌやネコなどの家庭で飼育するペットをさします。以前は愛玩動物を意味しましたが、最近では盲導犬や介護犬のような社会的に重要な役目を担っている動物がふえてきています。
動物に触れる仕事といっても、産業動物とコンパニオン動物とでは随分様相がちがってきます。
産業動物の場合、日本ではまことに残念なことですが、広い牧場でウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどの草食性の家畜が、本来のライフスタイルを保ちながらのんびりと牧草を食べているという牧歌的な風景はまれです。多くの場合、畜舎の中に押し込められた多くのウシ、ブタ、ニワトリが集約的に飼育されています。
コンパニオン動物の場合も、例えばイヌが、欧米のように室内で家族同様に生活しているケースが増加してきてはいますが、庭に鎖で繋がれた番犬として飼われている場合が多いと思います。
産業動物を対象とした場合は、自身が農家・牧場で働くという選択肢と畜産・酪農農家のかたが旅行などででかけるときに一次的に動物の世話をするヘルパーのような仕事が考えられます。
コンパニオン動物の場合は多様です。介護犬や盲導犬を調教をする専門性の高い仕事から、ヒトの美容院に相当するトリマー、ペットショップやペットホテルの世話係のような仕事まで幅広く考えられます。少し意味合いが異なりますが、動物園や公園で動物を飼育する仕事も重要です。
より一層細かい内容は、それぞれの業界のかたがたがホームページを立ち上げていますので、本当にやりたい仕事に関わるところを訪れて調べてみてください。
あまりお役にたてる回答になりませんでしたが、漠然と動物に関わる仕事ということより、もっと仕事の内容を絞り込んで考えてみてください。

眞鍋 昇
東京大学大学院農学生命科学研究科
高等動物教育研究センター(附属牧場)
実験資源動物科学研究室・教授

ご質問  家の屋根裏や雨戸の戸袋に無数のこーもりが住み着いて困っています。駆除の方法を教えてください。

お答え  私自身はコウモリの専門家でありませんので、知り合いの専門の先生にうかがいました。
まず話さなければならないのは、コウモリが住み着いているということは、その場所がそれだけ快適な環境であるということです。つまり、夏には涼しく冬には暖かく、びゅーびゅーと風が吹き抜けるということもなく安心して 暮らせる空間になっているのだと思います。つまり、コウモリを追い出すにはそのような快適さをなくしてやるというのが一つの方法です。通気性を過剰によ くして風が吹き渡るような環境にするとか、扇風機で強制的に風を送り込んでやるとかです。
もう一つは、基本的に夜には外に飛び出していくはずですから、しばらくの観察の後、どの穴から何匹くらい出入りしているのかを確認した後、外出している隙にその穴を塞いでしまうことです。ただし、コウモリはかなり小さな穴でも出入りしますので、完全に塞ぐことが求められます。それと、この場合気をつけなければならないのは、6~7月だと出生したばかりの子コウモリが家に残っていますので、塞いだ後に死亡して腐敗してしまうかもしれませんので、この期間は避けた方がいいようです。
いずれにしても結構めんどうですし、完璧な駆除方法というものはないそうです。もし専門家に相談されたいということでしたらご紹介はできますが、経費として50万円くらいはかかるとい うことです。また、以下のようなコウモリに関するホームページも開設されていますのでご参照ください。東洋蝙蝠研究所:www.abri.or.jp

岐阜大学応用生物科学部獣医学講座
野生動物医学研究室
坪田 敏男

ご質問  私は現在大学でICSI(細胞質内精子注入法)を使った研究など、人工繁殖に関係することを学んでいます。将来的には動物看護士を目指しているのですが、せっかくなら学んだことを生かした職業に就きたいと思っています。動物病院勤務か獣医学に関連する機関で働きたいのですが、どういったものがありますでしょうか。
2004/6/15

お答え  顕微授精や除核などのマイクロマニュピレーション技術を応用して、胚クローンや体細胞クローン動物を作製する研究は畜産分野で最も進んでおります。これらの研究機関としては一部の大学や県畜産試験場および飼料・乳業メーカーなどが含まれます。
一方、欧米を中心に、最近では国内の製薬会社やベンチャー企業が有用物質(医薬品)のDNAを胚に入れてトランスジェニック動物を作製し、有用物質を豚やマウスの乳汁中から生産したり、豚胚に人の遺伝子を入れて人移植用の臓器開発研究も進められております。もし、畜産試験場や民間企業に就職を希望するのであれば、インターネットなどで検索すると研究状況が把握できると思います。最近の話題として、山口大学前教授の鈴木達行先生が大学とのベンチャー企業としてフレンドセル研究所を設立されましたが、業務としてペットの体細胞クローン作製も受託すると聞き及んでおります。

また、医学分野には胚培養士という資格があります。胚培養士は人の不妊治療目的で、体外受精や顕微授精を行い、医者の診療業務をサポートします。この受験資格は獣医、畜産、臨床検査などの関連分野大学を卒業し、産婦人科病院で胚培養を一定数または一定期間経験して、初めて得られるそうです。

日本大学生物資源科学部 津曲茂久

ご質問 1.動物用の超音波診断装置は存在するのでしょうか?
2.もし、存在するとしたらどこのメーカでしょうか?

以上、2点教えて頂ければ幸いと存じます。宜しくお願い致します。

お答え 日立メディコ社から牛や馬の大動物専用に開発した動物用の超音波診断装置が市販されています。
足場の悪い牛や馬の獣舎内でも撮影ができるように超音波診断装置本体を背負い、 腰のベルトに固定したモニターを見ながら、直腸内にプローブを差し入れて子宮を観察し、妊娠診断するものです。
また犬や猫の伴侶動物には人体用超音波診断装置に体位マーカー画像を動物用にし たりして若干手を加えた動物用の超音波診断装置が日立メディコ、東芝メディカル、アロカ、島津メディカルなどのメーカーからから販売されていま す。これらはいずれも農水省から動物用診断機器として承認をとっています。

安田 準
岩手大学農学部附属家畜病院

ご質問  犬のCTやMRIがなかなか設備がなく、犬の脳外科手術というのも経過があまりよくないことが多いと聞きました。
現状では犬猫の医療現状は人間に比べてまだまだだと感じたのですがいまの獣医業界において、犬の脳梗塞などに対しての対処方法など、どのような治療が主流となっているのか、また、CTやMRIの普及について教えてください。

お答え  動物医療は人の医療のように専門分化が進んでいませんが、各分野(外科、内科、神経、循環器、眼科、血液、皮膚科など)の研究会、学会ができてかなりの時間が経っていますので、ホームドクターが的確な病院を紹介できる体制に少しづつ進んでいる段階と考えています。
犬ではほとんど脳梗塞はありません。中枢神経(脳脊髄)疾患の診断はMRI検査の導入により画期的に進歩しましたが、獣医系大学でもMRI装置を導入するところが増加していますので、すべてとは行きませんが、かなりの病気が診断できるようになりました。病気の診断ができれば、腫瘍であれば腫瘍の、脳炎であれば脳炎の治療をしてゆくことになります。
中には大学をしのぐ大きな病院もありますが、困った時には、2次診療施設である大学附属動物病院の利用も一法かと思います。ただし、ホームドクターからの紹介が必要です。

小川博之
東京大学大学院農学生命科学研究科高度医療科学研究室(附属家畜病院)

ご質問  私は現在、動物実験についての研究をしております。
動物を救う事を職としている方にとって、動物を実験に使用する事をどう思われますか?
私は今、とても大きな問題に直面しています。
医学のためには実験は止む終えないという考えと、医学でも何でも、生き物に苦痛を与えるのは絶対に良くない!という考えです。どちらが正しいのかわかりません。
獣医という職は、心から動物が好きでないと勤まらない職ですよね?
なのに、なぜ動物を傷つける事ができるのですか?
傷つき苦しんでいる動物を助けたくてこの職業についたはずなのに、
その大好きな動物を自分の手で傷つけられるのはなぜでしょうか?
是非、教えて下さい。

お答え まず御質問のうちから医学のために動物実験を行うことが是か否かと言う御質問にお答えします。国内外には動物実験を行うことはいかなる理由があろうとも悪であると考えている方々がおられます。一方、治療法の見つかっていない難病に罹患している患者さん方、またその家族の方々、そのような病気の治療法を研究している医学・薬学研究者などはそのような難病の解決のためには動物実験はなくてはならないものだと考えています。これらはその人達の置かれた立場による考えまたは信条であり、どちらか一方が正しくどちらか一方が間違っていると断定できるものではありません。

次に獣医師としての立場からお答えします。獣医師が動物の病気を治療することは元来動物の健康を守り動物を人の役にたてるためにあります。肉にする牛や豚の病気の治療をするのは、これらの動物が病気に罹っていると生産性が落ち畜産業に大きな打撃を与えるからです。また最近問題になったBSEやSARSのように家畜の病気が人間に来てしまうこともあります。獣医師は食の安全を守り人間の健康を守るためにも家畜の診療をしている訳です。最近は伴侶動物(ペット)の診療を専門とする獣医師が増えてきており、一般の方々はこれが獣医師の仕事と思われている人が多いようですが、本来獣医師は動物の健康を守ることで、人間が動物を利用するためのお手伝いをしている職業だと言うことを御理解下さい。

このように考えてきますと、医療・獣医療の発展や医薬品の開発のために飼育されている実験動物は家畜の一種であり、その家畜の健康を守るのもやはり獣医師と言うことになります。獣医師が扱う動物は多岐に渡っており、牛や豚などの産業動物を専門とする獣医師、犬や猫などの伴侶動物を専門としている獣医師と同じように、実験動物を専門としている獣医師もいます。研究しようとしているものとは関係のない病気に罹っている実験動物を使って行った実験は正しい結果を導きません。その実験そのものが全く無駄になってしまいます。従って実験動物専門の獣医師は実験動物の健康を守ることで、正しい実験結果が出て、それが有効な医療や医薬品の開発に繋がって行くことに貢献しています。

また、動物実験をしているからと言って野放図に動物を苦しめているわけではありません。現在日本には「動物の愛護及び管理に関する法律」というものがあり、その中で動物実験を行う場合はできる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないと定められています。また多くの研究機関、学術団体などでは規定や指針を制定しており、その中でも動物に苦痛を与えない方法を検討しなければならないことになっています。実験の性格上動物の苦痛を軽減できない場合は、研究者が所属する研究機関の動物実験委員会においてその科学的妥当性が審査されることになっています。これらの手続きを経なければ実験を行うことが許可されません。前述の実験動物専門獣医師は、動物実験委員会の専門委員として、動物の苦痛を排除するために適切な麻酔薬や鎮痛薬などが使用されているかを審査しています。このように実験動物専門獣医師は実験動物の福祉を守ることについても貢献しています。

安居院高志(あぐいたかし)
北海道大学大学院獣医学研究科 動物疾病制御学講座実験動物学教室
(2003.7.29掲載 2014.10.30一部修正)
■お返事 こんばんわ。先日はお返事有り難うございました。
獣医という職業が、動物を救う事ではなく、実は人間を救っているという事を初めて知りました。ペットを治療する人を獣医だと思っていました。でも実は、ペットが本当なのではなかったのですね。一つ勉強になりました。私の悩みはまだ解決していませんが、少しだけ考え方が変わりました。今まではどんな事があっても動物を苦しめるのは絶対によくないと思っていました。しかし、難病治療等のために動物実験をするのはしかたがないことなのかなと思い直しました。
生物は決して1人では生きていけません。人間はもちろんのこと、その他の全ての生物も、他の生き物を犠牲にしないと生きていけません。人間は昔から他の生物の大事な命を、自分達の利益のために奪ってきました。地球上の生物は共に協力し合って生きていかなければならないはずなのに、人間だけは違っていました。人間という生物が誕生して今日までに、たくさんの罪深い事をやってきたと思います。人間が関わるまではちゃんと自然の法則にのっとって自然界のリサイクルが成り立っていたのに、人間がどんどん手を伸ばしていったせいで、
今では森林破壊や動物絶滅など数え切れない程の問題が起こっています。人間は動物に頼るだけ頼って、一体どんなお返しが出来ているのでしょうか?人間が動物に返しているのは、苦痛だけです。自分の大事な命を私達に預けてくれた動物達を、私達人間は無残にも切り刻み、痛めつけています。
私はみんなに動物実験の内容をしっかり見て欲しかったので、研究しようと決意したのです。
しかし、今は目標が何なのかがわからなくなっています。最初はしっかり見えていたのですが、今は濃い霧の中を彷徨っているみたいで、あまり手が進みません。

お答え  獣医師の本来の職務について御理解頂き有り難うございました。○○さんの更なる御意見に対し私の意見をしたためました。
人は色々な意見を持つことは自由ですので、動物実験を悪と考えることも善と考えることも自由です。但し立場の違う人が違った考えを持つことは尊重しあわなければなりません。動物実験に反対の考えを持っておられる方の中には、自分と違った考えを全て悪だと決めつけている方々がおられます。このような方々は自分の考えを主張するために、研究所に侵入し機器を破壊したり、研究所へ団体で大量の郵便やFAXを一度に送りつけたり、研究者個人に対して脅迫状を送りつけたりと違法行為を行っています。学会での回答にも書きました通り、難病に侵されている患者や家族の方々、医学研究者らは動物実験は必要と考えておりますし、難病の解決ばかりでなく、医学・獣医学の基礎研究者も生命現象の研究のためには動物実験は必要不可欠と考えています。最近ヒトのDNAの全塩基配列が明らかにされましたが、これはその設計図が明らかになったと言うだけで、明らかになった遺伝子が私達の身体の中で何をやっているのかと言うことについてはほとんど分かっていません。今後これらを明らかにして行かなければならないのですが、このためにも動物実験は必要です。このように自分と違った意見を持っている人達がいることを認めることも人として必要なことだと思います。

>地球上の生物は共に協力し合って生きていかなければ
>ならないはずなのに、人間だけは違っていました。

 ところでこれは正しいでしょうか。あなたはテレビなどでライオンがシマウマなどを追い掛け回し、捕らえて肉をむさぼり食べるシーンを見たことがないでしょうか。私はシマウマの立場になって考えるとシマウマが死ぬまで大変な恐怖と痛みに苦しんだだろうと思ってしまいます。我々は家畜を屠畜場で殺処分したり、実験動物を安楽死させたりしていますが、動物を殺処分する時の基本原則は動物を苦しめないと言うことです。従って我々が動物を殺処分する時は意識の喪失が死より前に起きるかまたは同時に起きる方法を基本としています。私はむしろ人間の方が他の生物のことを思いやることができ、他の生物にはそれができないと思っています。
さて、ライオンはこのような残酷な行為をしているからと言って、私はライオンを責めようとは思いません。なぜならライオンは生きるためにシマウマを殺しているのですから…。地球上の生物は全て何らかの生物を補食して生きています。植物にも命があります。だからこのことを否定すること自体無意味です。むしろ人間には英知があり、野生生物を犠牲にすることなく、自ら動植物を育てて食料にする方法を会得しました。あなたがおっしゃるように確かに文明が進み過ぎて他の生物を絶滅させたり、自然を破壊し過ぎたりすることもありました。しかし人間には英知があり、それを戻そうとすることができます。ライオンにはそのような英知がありません。自分達が増え過ぎて餌がなくなれば、自分達の一部が飢え死にしてバランスを保ちます。人間もかつてはそうでした。餌がなくなればたくさんの人が飢え死にし(現代でも政治的要因から一部の地域ではこのようなことがありますが)、餌が回復すればまた人口も回復すると言ったサイクルです。また、世界的な感染症が発生すれば一度に数百万もの人が死に、その感染症に抵抗性の人が生き残りまた人口を回復させます。一般に生物は自然界ではその種(しゅ)を保存することに第一義をおいており、個体の死と言うものには無頓着です。ヒトは文明を発展させることで計画的に食料を得る術と感染症に打ち勝つ術を獲得してきました。あなたの御意見を読ませて頂くと自然のサイクルに戻ると言うこと、即ちこの文明の発展を否定しているように思えてきます。自然のサイクルに戻ると言うことは肉親や知人の死と言うものには無頓着になり、ヒトと言う種を保存させる行為が第一義になるということです。あなたはこのような世界に戻ることを望んでおられるのでしょうか。
最初にも申し上げた通り、人は色々な思想を持つことは自由です。したがってあなたが私の意見に対してまだ反論があることもまた自由です。一方的に動物実験に反対する人達の意見に耳を貸すばかりではなく、動物実験を必要と考えている人達の意見にも耳を傾け、あなたが自由な意志の元で自らの考えを形成していかれることを期待しております。
動物実験のことから話題がそれてしまいましたが、前回の質問にお答えしました通り、現在では残酷な動物実験や無意味に動物に苦痛を与える実験は行われておりません。こちらも色々なところから情報を入手されて勉強されることを望んでおります。

北海道大学大学院獣医学研究科 動物疾病制御学講座 実験動物学教室
安居院 高志

ご質問 闘牛を興奮させるために『赤いマント』を使っていて、一般的にはマントの『赤』の色に牛が反応していると言われています。
しかし実際のところは、牛の目は色盲であり『赤』の色に対してではなく、『マント』の方に反応していている。という情報を本で見つけたのですが、それは本当でしょうか?

お答え  イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどの動物はすべて色覚を持っています。ただし、青錐体(青に該当する波長に対応した網膜錐体細胞)と赤から緑の波長に対応した網膜錐体細胞の2種類しか持っていないので、ヒトで言う赤緑色盲と類似した色世界と思われています。従って、十分な明るさと各色が細かな点として混在していなければ赤、青、緑とほぼすべての色を見分けることができます。しかし、赤から緑がかった色については十分な明るさが無いと区別しにくいようです。また、赤と茶色の区別がつかないなど類似した色の区別は明るくてもできないようです。
  1. 牛は実際のところ、色盲であるかないか?
    答え:白黒の世界と言う意味で「色盲」を使っているのなら色盲ではありません。しかし、人で言う「色盲」という意味なら色盲です。
  2. 『赤いマント』の赤は牛には○○色で見えている?
    答え:赤いマントの赤はウシにも赤に見えています。闘牛場のように十分の明るさがあって、しかも比較的大きな面積が赤一色であるのなら、赤に見えるはずです。

(回答の背景)
哺乳類の先祖である爬虫類は、基本的に昼型動物で、視覚に頼っています。錐体細胞にも視物質からみて4種類あり、従って4色性色覚動物です。これは鳥類でも同じことです。しかし、哺乳類は約2億年前の中生代三畳紀に誕生以来、爬虫類の天下のもとで小型、夜行性あるいは物陰の薄暗い環境下で、恐竜類が滅亡した8-6,000万年くらい前まで、つまり1億数千万年間の長きに渡ってうす暗がりの寒い環境下で惨めな生活を余儀なくされました。この間に、薄暗くて肌寒い環境に適応して恒温性の獲得が起こり、将来の飛躍につながる変化が起こったと共に、先祖の4色性で視覚(色覚を含む)の良かった長所を失い、2色性色覚動物になりました。つまり、杆状体細胞が優勢に成ると共に、錐状体細胞は青と赤の2種になりました。別の言い方をすれば、緑と紫の錐状体細胞を遺伝子ごと失いました。約3,000万年前にある種の霊長類で、赤錐体に含まれる赤視物質をコードする遺伝子(これがX染色体にあるので、赤緑色弱で男と女の出現率に差が出ることになります)に重複が起こり、これから緑錐体が出現しました。結果として、ヒトを含む狭鼻猿類が3色性色覚を獲得しました。
哺乳類一般は2色性色覚動物で、ヒトなど狭鼻猿類のみが例外的な存在として3色性色覚動物です。では、狭鼻猿類以外の哺乳類はすべて2色性色覚かと言うと、2種の視物質を持つと言うことと2色を識別し、その2色を混合した色を見分けることができることと同じではありません。2種の錐状体細胞が有意なほどの比率で存在するか、網膜から視覚中枢に色識別の神経回路が確立しているかが問題となります。

鳥取大学農学部獣医学科家畜解剖学講座 上原正人

ご質問 私は中3ですが、将来の夢は、野生動物を保護していく仕事に就きたいと思っています。ですが、そういうのはボランティアが多いと聞きました。
たとえボランティアでもやりたいので、海外で野生動物を保護している所を教えて下さい。

お答え 野生動物保護には、いろいろな形での関わり方があると思います。もちろん研究者としての関わり方もありますし、それ以外に獣医師として、またボランティアとして関わる術があると思います。日本ではまだまだ少ないですが、欧米ではボランティアとしての活動も活発です。具体的には、私が知っているのは、アメリカ合衆国にあるPAW(Progressive Animal Welfare Society)という団体です。おそらくアメリカで野生動物(以外の動物も)保護を行っている最も大きなボランティア団体の1つだと思います。インターネットでホームページを見られますので、一度ご覧ください(http://www.paws.org/)。

岐阜大学農学部獣医学科
獣医臨床繁殖学講座
坪 田 敏 男

ご質問 犬の断脚についてお尋ねします。
  1. 交通事故以外に断脚する病気はありますか。
  2. 片足の断脚はどのくらい,いそうですか?
  3. 両脚の断脚はどのくらい,いそうですか?
  4. 断脚した動物の飼主さんたちが,情報交換できるような場はありますか?
  5. 遊んでいるときに,切断した足を地面についてしまう場合があります。(保護目的の義足は意味があるでしょうか?)
  6. TV番組などで動物用の車いすで生活する,犬を見たことがありますが,車いすが対象となる動物はどのくらいいて,実際に車いすをつけている動物はどのくらいでしょうか?
  7. 動物用車いすを使用している飼主さんたちと情報交換できる場はあるでしょうか? 2002/12/11

 

お答え

 断脚術はできるだけ実施したくない手術です。しかし、残念ながらいくつかの病気ではしばしば行われます。第一は、骨肉腫、と呼ばれる足の骨の癌です。この癌は悪性度が非常に高く、しかも骨をどんどん壊していくので、癌の部分だけをとることが非常に困難です。足を使えるように部分切除をするとすぐに再発する可能性が高く、どうしても断脚術になります。それでも転移する例が多い、きわめて悪質な癌です。他の腫瘍、癌でも部分摘出ですると足の機能(歩く、負重する)といったことができなくなる場合、通常断脚を行います。例えば中途半端な位置での断脚は、動物が足をつくとその皮膚が破れてしまう、といった懸念があります。その場合、むしろ断脚した方が術後のトラブルはありません。
それ以外に、重症の骨髄炎(骨の感染症で、骨が壊れていく状態)、偽関節(骨折がうまくつかず、そこがあたかも関節のようにぶらぶらし、それを動物が気にするような場合)などが断脚手術になる可能性のある疾患です。

 片足の断脚が普通で、両足を行うことはあまりありません。しかし、交通事故などで、両足を失い例もあります。その場合、自力での歩行は非常に困難であり(中にはうまく適応してくれる動物もありますが)、特に前足ではほとんど歩行が不可能です。数は何とも言えません。少なくとも我々の病院では年に10-20例はこの手術を行います。

 切断した足をついてしまうことは、その部位の皮膚を壊すことにつながります。足のパッド(黒い部分)は非常に上部で問題ないのですが、断脚したには普通の皮膚しかありません。したがって、通常断脚する位置はずっと上で、前肢であれば肩関節、後肢であれば股関節から切断します。これを途中で断脚し、そこに義足を付ける、というのも一つのアイデアだと思います。しかし、動物にとって快適な義足はなかなか難しいと思います。義足を付ける部分の皮膚に炎症が起こると、おそらく動物はそこがかゆい、痛い、ということで必死に舐めようとすると思います。あるいは、義足をかじってとってしまおうとします。もし、片足で、それが後肢の場合、通常歩行、走行は十分に可能です。前足でも、走るのはなかなか難しいですが、歩くことは十分に可能です。とすれば、時にかゆみ、痛みを覚える義足より、自分の筋力を鍛えて自分で歩く方が好ましいのではないかと思います。もちろん、動物にとって快適な装具が開発されれば、好ましいことと思います。

 車椅子ですが、すでにいくつかのメーカーが動物用のものを販売しています。この適応は、交通事故、あるいは何らかの脊髄疾患のため、後ろ足が完全に麻痺した動物です。ただし、このような動物では、排尿、排便がうまくいかないため、飼い主の世話は大変で、特に大型犬では毎日の下の世話が非常に大きな負担になります。その世話がうまくいかない場合、あるいは、犬の協力を得られない場合(かみつく、怒る)、褥創という床ずれが起きて大きな皮膚の欠損が生じる可能性があります。そのような場合、むしろ動物にとっても安楽死、という選択をせざるを得ないこともあると思います。どの程度の数の犬が車椅子を使っているか、と言う点については全く統計がありません。むしろ業者の法が分かるのかも知れません。

 これらの病気を持つ飼い主のネットワークですが、非常に大事なことと思っております。しかし、その立ち上げには、獣医師も多大な努力を必要とします。残念ながら、大学では(獣医大学にお入りになると分かりますが)臨床系の教官の人数はきわめて少なく、多くは毎日診療に、教育に追われています。その重要性を認識しつつ、できない状況です。しかし、これは非常に有用なネットワークですので、どこかでスタートすべきである、と思っております。

以上が私個人の答えですが、もし何か他に質問があればどうぞ再度お知らせください。 

東京大学、獣医外科、佐々木伸雄

ご質問 狂犬病の抗体検査というのは、国内でされているところがあるのでしょうか?海外へ犬を連れて行くためだと思いますが、時折問い合わせを頂きます。ネットで調べてみると、「海外の検査機関BioBestで調べた」という記載がありました。 国内では出来ないのでしょうか? 2002/11/11

お答え 狂犬病ウイルスに対する抗体測定について

日常的に狂犬病ウイルスの抗体を測定している機関は我が国にありません。
しかし、狂犬病の研究を行っている

1)京都大学薬学部(河合明彦教授)、
2)大分医科大学医学部(西園章教授)、
3)日本大学生物資源科学部(酒井健夫教授)、
4)国立感染症研究所、
5)岐阜大学農学部、
6)農水省動物医薬品検査所、
7)農水省動物検疫所、
8)またワクチンを製造している北里研究所、
9)日本生物科学研究所、
10)松岡研究所、
11)微生物科学研究所、
12)化学及血清療法研究所

では何らかの抗体測定が可能と思います。

抗体測定には幾つかの方法がありますが、海外に犬を連れて行く場合には
中和抗体の測定を求められていると思います。その場合は、狂犬病ウイルスの
実験を常に行っているところになり、迅速かつ確実に測定できる機関として、
1)~6)があげられます。
ただし、それらの機関でも日常的に測定していないので、事前に連絡が必要です。

岐阜大学農学部 獣医公衆衛生学講座
源 宣之

ご質問 野兎病について
最近、ニュースで流れて以来、野兎病に対する多数の質問を受けます。プレーリードッ
グに対しては、感染した場合、急激に発症して死亡するため、現在生存している個体については特に心配がないとのことですが、もしも急性死亡例の場合、野兎病を検査する機関はありますか?また、感受性動物に犬や猫の記載があります。これらの動物で、疑わしい症例を検査することが可能かどうかも教えていただければ幸いです。
お忙しいとは存じますが、宜しくお願いいたします。

お答え  動物衛生研究所(農水省)臨床疫学研究室と国立感染症研究所(厚生省)細菌部では野兎病に関する検査体制の確立急いでおられますので、そちらへご相談頂ければ対処していただけると思います。
福島県福島市の大原総合病院付属大原研究所では野兎病の研究を長年にわたって(昭和24年から)継続しておられ、そちらでも野兎病の検査を無料で受けて頂けるそうです。
  1. 検査材料の送付先
    郵便番号 960-0195
    福島市鎌田字中江33
    大原総合病院付属大原研究所
    藤田 博己 先生
    tel:024-554-2001(内)235
    fax:024-554-6879

  2. 材料送付上の注意
    血清(0.5 ml 以上)あるいは臓器(1 cm角程度の肝臓と脾臓)をビニール袋に密封し、氷と一緒に発泡スチロールの小箱に入れて緩衝措置を施し、クール宅急便でお送り下さい。陽性材料の送付によって運搬者へ感染したり、汚染を拡大する危険性がありますので、梱包には十分注意して下さい。

    今のところ、輸入プレーリードッグからヒトへの野兎病菌感染は国内で発生しておりません。横浜市衛生研究所のホームページに野兎病の総説が掲載されています。本学会のホームページにも近日中に総説を掲載します。

    日本獣医学会
    広報担当

ご質問 私はアニマルセラピーに関心をもっていて、特にアニマルセラピーに導入される犬に与えられるストレスを研究したいと考えています。しかし、まだあまり研究がされていないようで、良い文献が見つかりません。犬の行動学からみたストレスの測定法でなにか良い方法があったら教えて下さい。また、カーミングシグナルを測定することでストレスがわかるようなんですが、なにか良い文献があったら教えて下さい。2002/6/26

お答え

 アニマルセラピーに関する研究自体まだあまり多いとはいえませんが、特に動物のに関する研究はご指摘の通りとても少なく、論文はあまり多くありません。イヌの行動学的ストレス評価法としても体系的に確立されたものは殆どなく、カーミングシグナルがストレスのサインであるという考えは一般に受け入れられていますが、必ずしも科学的に検証されているわけではないようです。そのような状況ですので、以下に関連すると思われる文献をいくつか紹介するにとどめさせていただきます。
まず、一般的な犬の様々な刺激やストレスに対する行動および生理的反応に関して調べている文献として、以下のようなものがあります。
#Beerda B. et al. "Manifestations of chronic and acute stress in dogs."Applied Animal behaviour Science 52 (1997) 307-319.#Beerda B. et al. "Behavioural, saliva cortisol and heart rate responses todifferent types of stimuli in dogs." Applied Animal Behaviour Science 58(1998) 365-381.
また、ネコでは行動的ストレス評価のためのスコア法が開発されていますので、次の文献が参考になるかもしれません。
#Kessler MR & Turner DC "Stress and adaptation of cats (Felis SilvestrisCatus) housed singly, in pairs and in groups in boarding catteries." AnimalWelfare 6 (1997) 243-254.
以上は犬や猫が単独でいる場合のストレス評価に関して有効ですが、動物アニマルセラピーの場合はヒトとの相互作用があるなどの特殊な状況におかれるので、特有の反応があると思われます。ヒトと関わるなかでのストレスの行動的評価については、ブタなどの家畜を対象としたHemsworthらのグループによる一連の研究等も参考になるかもしれません。
また、アニマルセラピーに関する一般書は和文でも最近出版されていますし、季刊誌「リラティオRelatio」(チクサン出版社)のバックナンバー等にも参考になる記事があると思います。洋書では専門書も何冊も出版されていますので、そういった文献のなかに動物側に関する記述もみられるのではないでしょうか。例えば、#C.C. Wilson & D. Turner (eds.) "Companion animals in human health" (1998)SAGE Publications.には、アニマルセラピーにおける動物(犬と猫)の福祉に関して配慮すべき点について、理論中心にまとめられたパートがあります。
また、アニマルセラピーに用いる犬の選択に役立てるため、アメリカのデルタ協会(Delta Society)が適性テストを開発しています。協会は評価者の訓練コースを開講しており、その一環として犬がセラピーの場面で見せるストレスサインを判断することも含まれているようですので、このコースのテキストを入手すること、あるいは、日本人でもこの評価者の資格を取得された方がいらっしゃいますので、そのような方に意見をきくことも参考になるかもしれません。

武内ゆかり、加隈良枝(東京大学・獣医動物行動学教室)

ご質問 私は義肢装具士になるための専門学校へ通う30歳の女性です。
義肢装具士は義足や義手、装具を患者さんの身体に合わせて製作、適合を行う技術職です。義肢装具を動物へ処方する実例はあるのでしょうか?幼少の頃より動物が好きで、今学んでいることを獣医学の分野へ応用できないものかと日々思っているのですが、なかなか情報が得られません。以前テレビで地雷を踏んだ象に義足を製作するという番組を見て共感しました。これは特殊なケースだと思います。臨床の場で動物の義足というものが作られることはあるのでしょうか? 2002/4/7

お答え 動物においても骨の癌など様々な疾患、事故等により足を失うことは決して少なくありません。その場合、義肢を使うか、という点ですが、結論から言うと殆ど使われていません。象の件は非常に特殊ではないかと思います。
一般に、四足歩行の動物では、後肢は主に蹴る形で歩行、走行をいたします。体を支え、かつ十分な力で蹴ることができれば、殆ど通常の歩行走行は可能です。しかし、前肢では、2本の足が順に位置を変えてつくことがスムーズな歩行を可能にするため、その片足を失うとぎこちない歩き方になり、また早く走ることはなかなか困難になります。加えて、前肢には体重の60%がかかるため、足を失った当初は立ち上がるのも不自由です。

しかし、犬、猫などの小動物は自分で動きたいという欲求が強いためか、あるいはそのような努力は当たり前のこととして生得的に持ち合わせているのか、このような状況でのリハビリは非常にスムーズに行えます。当座は飼い主が体を支えながら一緒に歩く、といった工夫が必要ですが、もちろん個々の例によって異なりますが、1ー2週間のうちに筋力が付いてきて歩けるようになることが多いように思います。確かに、非常に太った犬、老齢で他に疾患があり、リハビリが困難な例など、例外はありますが…。

したがって、多くは義足をつけなくとも少なくとも生活に必要な歩行は可能になります。一方、義肢は動物にとって体につけられた自分のものでないため、かえってそれを気にしてしまい、舐めたり、咬んだり、壊してしまうことが予想されます。特に、自分の体との接点ですれて炎症でも起こしますと、よけい気にする傾向があります。したがって、もし義足をつける場合、いかに動物が気にしないように装着するか、あるいはなれさせるか、は結構大きな問題のように感じます。

しかし、トーマススプリントといって、骨折部を固定するために足に固定する外固定法が広く使われ、今でも時に使われる方法ですが、これも数日で動物はなれます。また、カラー(これは様々なメーカーから市販されています)も2-3日でなれるように思います。とすれば、工夫次第では、動物も義足に慣れる可能性も考えられます。

ということで、従来あまりその必要性が少なく、必ずしも使われてこなかった、というのが正解かもしれません。もし、動物にとって違和感がなく、装着されて数日で慣れるような義肢が開発されれば、広く使われていく可能性はあるかも知れません。(後は値段の問題もあります)。

動物に装着するものとしては他に骨折の治療に使う外副子、神経麻痺の動物に使う車椅子などがあります。また足の固定には種々のテーピング法が使われています。また、足の裏(パッドの部分)の怪我などの治療時に動物専用の靴が市販されたことがあります。しかし、最近あまり見ませんので、広く使われるには至らなかったのではないかと思います。

こんなところが回答ですが、質問に答えていますでしょうか?もしもっと具体的な情報が必要であれば、お近くの獣医さんに聞いてみてはいかがでしょうか?いろいろなものを見せていただけるかも知れません。

佐々木伸雄(東京大学、獣医外科)

ご質問 テンカンに関する治療病院若しくは、手術の現状について、お知らせ頂ければ幸いです。2002/3/17

お答え
  1. テンカンに関する治療病院について
    犬を対象とした,人におけるてんかんセンターのようなてんかん専門病院は,残念ながらありませんが,一般の動物病院においててんかんの治療を受けられることは可能です。各病院にお問い合わせ下さい。来院時には,初めててんかん発作がみられた時期,発作の内容(体の一部分からけいれんが始まるか,あるいは全身のけいれんが突然起こるか?,発作の頻度,発作の持続時間,発作のみられる時間帯あるいは発作の引きがねになる原因,発作前に何か異常がみられるか,発作後にはすぐに正常にもどるかなどについて記載したメモを持参されることをお勧めします。
  2. 手術の適応について
    てんかん発作が腫瘍や水頭症などの脳病変が原因で起こっている場合には,外科手術によって改善がみられることがあります。いっぽう,てんかんをひき起こす明らかな脳病変がみつけられないときには,あくまでもけいれん発作を抑える薬で効果のないケースに対してのみ,手術がおこなわれています。この場合,人においては,ある種のてんかんに手術が有効であることがわかっていますが,犬では,海外を含めてわずかな症例報告しかなく,外科手術の効果については,はっきりとはわかっていないのが現状です。

    神戸市・澤嶋動物病院 澤嶋裕子

ご質問 友人の犬が以下のような状態です。
今現在、手分けをして資料や情報を集めていますが、何か手がかりなどございましたらお教えください。
友人の飼い犬(ゴールデン・リトリバー ♀)犬は、5歳の♀です。「リンパ腫」が見つかりまして、迅速な検査・決断で昨日から抗癌剤の投与を開始しました。
実は、犬の「リンパ腫」が完治した例が無い・・との獣医の説明ですが、本当に、「リンパ腫」から生還をして、寿命を使い切った犬は1匹も居ないのか…?それを、先ず確かめたいのです。

「犬のリンパ腫は、再発する・・・完治しない」との判断が一般的ですが、「何故、再発するのか?」「何故、癌化するのか?」「何故、発症する犬種に偏りが有るのか?」などを、答えが出せないまでも・・・何らかの手掛かりを掴みたいと思い、専門家の最新の資料を集めている所です。
何かおわかりの事がありましたら、お力を貸していただけませんでしょうか?
よろしくお願いいたします。2002/3/3

お答え ご質問にお答えします。

まず、犬のリンパ腫が完治した例が無いというのは、誤解です。
確かに再発率が高く、完治が困難な腫瘍ではありますが、私どもの採用している化学療法プロトコールでは、2年生存率(腫瘍が見つかってからの生存期間が2年を超える確立)は約25%です。実際、私どもの施設でも、2年間のプロトコールを全うし、今も元気に生活している犬や猫がいます。

犬のリンパ腫の原因は今のところ不明です。ウイルス説もありますが、ウイルス粒子の存在は明らかにされておりません。人のリンパ腫では染色体の異常や遺伝子の異常が報告されていますが、犬ではそのような報告はほとんど見当たりません。ただ、特
定の犬種(ゴールデン・レトリバーも含まれます)に発生が多いのは事実ですので、何らかの遺伝的背景が存在するのは確かなようです。

ご友人の犬は頸部のリンパ節が腫れているようですが、それ以外に体腔内(胸腔や腹腔)のリンパ組織が侵されていないかどうかを調べることは予後を予測する意味で重要と思われます。現在までのところ、犬のリンパ腫では、腫瘍細胞の起源がTリンパ
球由来であること、腫瘍が胸腔の縦隔洞に存在すること、血液検査で高カルシウム血症があること、の3点が予後不良因子として認められています。

再発率の高さについては、その一つとして腫瘍による多剤耐性の獲得が関係しているとされています。細菌が抗生剤に対して耐性を獲得するように、腫瘍細胞が抗癌剤に対して耐性を獲得し、薬が効かなくなるというものです。

犬のリンパ腫に対する化学療法にはいろいろな方法があります。副作用が少なく、経済的にも負担の小さいプロトコールでも腫瘍の縮小という点に関しては有効ですが、多剤併用療法と較べると再発までの期間や生存期間は短いです。ハイリスク ハイリターンといって、見返りを期待するからには多少危険な橋を渡る必要があることを認識していただきたいと思います。

以上、私の知っている範囲内でお答えいたしました。お役に立てれば光栄です。
いずれにしましても、大学病院などの専門的な施設での治療をおすすめします。

北海道大学大学院獣医学研究科・臨床分子学研究室 滝口 満喜

ご質問 動物の輸血に関して、お尋ね致します。
  1. 動物の輸血用血液製剤は、日本で販売されているのでしょうか?新聞の報道では、米国では、販売されているようですが、ドナー動物の問題で製造量が限られており、その供給は、数ケ月待ちなどの記事がありますが?
  2. そのような動物用輸血製剤は、日本の薬事法上の医薬品に相当するのでしょうか、それとも他の法律等で規制されているものでしょうか?それらの日本への輸入や、販売許可は、通常の治療用医薬品と同じと考えられるのでしょうか?
  3. また、犬や猫の血液型の判定や、副作用を防止するための検査は、どのように行われ、そのための試薬等は、実際に販売されているものなのでしょうか?

 以上、よろしくご教示お願い申し上げます。2002/2/23

お答え
  1. 輸血は医学では重要な治療法であり、これは獣医学でも全く同様です。しかし、人のような血液銀行は残念ながら日本ではまだ確立されていません。アメリカではいくつかの会社が動物の血液を販売している、と聞いておりますが、その実状は(供給が不十分で数カ月待ち、ということは実際の臨床では考えられません。輸血は緊急に必要な事態です)、私どももきちんと把握しておりません。したがって、実際のドナー動物については、多くは犬、猫ボランティアグループを作り、もし輸血が必要な事態になった場合、そのグループにお願いし、ドナーになってもらう、という形態をとっているものと思います。その代わり、もし自分の動物に輸血が必要になった場合、スムーズに輸血を受けることができる仕組みができているものと思います。
    日本では、多くの大学病院で、輸血に備えて日頃動物を飼っておく、という体制がとられています。これは決して良いこととは思えず、また、その動物たちの健康の維持、ワクチンなどの病気の予防、毎日の散歩?その他の経費や労力も決して少なくありません。我々もきちんとした形で動物の血液供給がなされれば、それに依存したいと思っております。
  2. 現在までに日本で動物の血液製剤が販売されたことは私の知っている限りないと思います。もし会社が販売する場合、おそらく人の血液と同じ扱いになるものと思われますが、実際に業者からそのような申請があるまでは、何とも言えないのではないかと思います。
  3. 血液型の判定は、ある業者が宣伝を開始していますが、その実態は私にはわかりません。また別のメーカーがまもなくそのための試薬を販売する、と聞いております。それらが利用できない場合、通常獣医学では、交叉試験を行います。これはドナー側とレシピエント側の血液の相性を確認するもので、この方法で問題がない場合、輸血による副作用の起こることはきわめてまれです。通常、我々もこの交叉試験で判定しています。今後、動物の血液型判定の試薬が広く販売されれば、それらをもとに獣医師の仲介による血液供給ボランティアグループが日本でも生まれ、様々な地域でより輸血が広く行われるものと思っております。一方で、獣医学領域でも代替血漿製剤がアメリカ等で使われています。人工赤血球の開発にはまだ時間がかかりそうですが、急性の出血であれば、代替剤が十分力を発揮すると思います。また、一般に獣医師は輸血をしにくい、とのことから、小さな動物の手術において特に細かな出血でも丁寧に止めるような努力を払っています。したがって、輸血を必要とする状況は医学よりもむしろ少ないかも知れません。これは私自身の印象かもしれませんが。

  東京大学 獣医外科学教室 佐々木伸雄

ご質問 私は将来アフリカの野生動物保護区か動物孤児院で、野生動物の保護活動をしたいと思っています。
今、獣医師を目指すか、動物看護士を目指すかで悩んでいます。 保護活動をしていく上では、やはり獣医師としての知識や技術はなくてはならないものなのですか?
教えてください。宜しくお願いします。2002/2/15

お答え

「野生動物の保護に関わりたい」とのことですが,ご存知のとおり「保護活動」はさまざまな分野の連係プレーで進められ,究極的には「対象とする地域社会全体のマネジメントし,野生動物を存続させ得る(すなわち種の多様性を維持させ得る)自然環境と社会基盤を整備すること」と位置づけられます.したがって,獣医学的な知識が不可欠となる分野も特化されており,希望する職種によっては農学や理学,社会学,教育学などを修めた方が有利な場合もあります.下記に「獣医学的な知識と技術が不可欠な分野」の一部を列挙してみましたので,このような方面に進みたいのであれば是非とも獣医師を目指してください.

1) 人工繁殖
この技術は,主として産業動物において発達したものですが,野生動物にも応用することができます.近年,「生息域外保全(野生状態での存続が危惧される種を人間の管理下で繁殖させ絶滅を防ぐこと)」を目的に,動物園などでは希少種の人工繁殖が盛んに行われています.人工繁殖に際しては,麻酔,精液や卵の採取,人工授精,胚移植など様々な獣医学的テクニックが使われます.アラビアオリックスやゴールデンライオンタマリンなど,人工繁殖の個体の導入により復活した野生個体群も存在します.

2)健康管理ならびに生息状況モニタリング
「生息域内保全(動物を元々の生息地,すなわち野生状態で存続させること)」でも獣医学は活躍します.野生動物では保護を目的とする捕獲調査がしばしば行われますが,その際に血液などを採取して健康診断を行います.繁殖状態や栄養状態の悪化が高率で確認されれば,それは動物たちに何らかの異変が生じている証拠です.このような状況を早く察知し対策を立てることで,生息数の減少や絶滅を予防することができます.捕獲の際,動物の苦痛やストレスは可能な限り軽減させなければなりませんが,これも獣医師の腕の見せ所です.

3)感染症対策
野生動物における感染症の流行は,時に種や個体群の存続に危機的な状況をもたらします(ジステンパ-によるアザラシやライオンの大量死は記憶に新しい事件です).そのため感染症が発生した場合には,一刻も早く病原体や感染ルートを解明し流行に歯止めをかけなければなりません.このような役割も獣医学が担うことになります.なお,野生動物の病気がヒトや家畜に伝染する場合も少なくありません.したがって,野生動物の感染症対策は,人間社会にも深い関わりをもっています.

ご質問 島根県のホーゲルパーク内でオーム病が感染したニュースで驚いています。
出来れば人獣共通感染症についてお聞かせ下さい。2002/2/14

お答え

 人獣共通感染症;同義語として動物由来感染症とも人と動物の共通感染症とも言われる。

  • 定義;脊椎動物と人との間に自然に伝播するすべての疾病と感染症
  • 病原体;ウイルス、リケッチア、クラミジア、細菌、原虫、寄生虫を合わせ世界中には
    数100種類にも達する。日本には100種類近く存在する。病原巣動物の種類も哺乳類、
    鳥類、は虫類、両生類、魚類などきわめて多い。オーム病はクラミジアによる人獣共通感染症である。
    オウムやインコ類の鳥が感染しており糞便中にオウム病クラミジアが排出され、空中に舞い上がった
    糞便をヒトが吸入し感染したものと考えられる。

    北海道大学大学院獣医学研究科 公衆衛生学教室 高島郁夫

ご質問 アニマルセラピー等のように、近年、動物と人間との関わりが話題になっています。
このような社会の中で、獣医師は動物と人間との絆を深めるためにどんな活躍をするべきだと思いますか?
お答え頂けたら幸いです。2001/11/7

お答え 社会の複雑化と共にアニマルセラピーの必要性が注目され、各地各所で取り組みが報告されるようになりました。欧米に比べ我が国では未だ確立されている分野とはいえませんが、早急に獣医学教育の中でも1つの学問研究分野としての対応が必要不可欠ではないかと思います。この分野は獣医学分野のみで対応できるものではありません。

獣医学は勿論のこと、医学さらにボランティア・コーディネイターを中心とした、多くの分野での分担あるいは協調が求められるものと思います。注意しなければならないことは、いつまでもボランティアを中心としたやり方では永続しませんので、行政を含めた対応が必要と思います。

また、アニマルセラピーの実施に際しては今後は動物側に立った配慮も必要かと思います。そのような面で獣医学は大きく関与する事が可能です。近年、多くの事例があり、報告がなされるようになりました。

そろそろアニマルセラピーの日本版(決して欧米の模倣ではない)を関係各位の協力のもと、立ち上げる必要があるかも判りません。当然、教育の中にも取り入れることは必要不可欠と思います。

東京農工大学農学部獣医学科家畜外科学教授  山根 義久

ご質問 こんにちは。お聞きしたい事があります。私は将来、傷ついた野生動物を治療する、傷病鳥獣救護活動に関係する仕事に就きたいと考えています。しかし、こういった活動は皆ボランテイア活動だと聞いて驚き、感動しました。

活動をするためには、開業している獣医師でも参加する事は可能ですか?よろしくお願いします。2001/10/31

お答え

今回のご質問の内容は、1)野生動物の救護は職域として存在するのか? 2)救護活動は一般開業獣医師でも参加は可能か?ということですね。「救護」を傷病鳥獣の治療とケアだけに限定した場合、そのような活動は職業にはなりません。自治体により委託された一般開業や動物園・大学などの動物病院により、傷病鳥獣の救護が実施されますが、その場合の治療費は、満額を支払われることは稀です(注:中には北海道のように治療費の一部補助を行っているところもあります)。また、自治体からの救護業務の委託を得るために、各都道府県の獣医師会などが主催する救護講座などを受講する必要があるとしているところもあるようです。したがって、救護活動の参加や補助などについては、開業される予定の都道府県獣医師会に問い合わせるのが一番でしょう。もし、要領を得られないようでしたら、動物園や都道府県庁の自然保護関係のセクションなどに問い合わせることも可能でしょう。

質問への回答は以上ですが、この機会に、傷病鳥獣の救護活動について眺めてみましょう。まず、ここで紛らわしい単語、保護管理と愛護運動を整理しましょう

保護管理: 生物多様性の多様性の保全・持続的利用などをゴールにしたもの。たとえば環境収容力を越えた個体群の間引きや移入種の排除など。

愛護運動: 人道的・いつくしみを動機にしたもろもろの活動。心の満足がゴール。一切の人為的な殺戮を認めないことが普通。

それでは、救護活動はどうでしょう。基本的には、愛護精神から出発した活動です。したっがって、安楽死を含め一切の殺戮を認めていない獣医師と保護管理の担当者との論議のずれが生ずることがあります。

ところで、救護活動の原因となる人為的な死亡要因にはどのようなものがあるのでしょう(藤巻、1993など)。
1)狩猟・駆除: 1年間に鳥類が約600万羽と哺乳類約60万頭が狩猟・駆除されている。
2)人間の生活域での事故(交通事故・衝突など): たとえば、記録のあるところで、高速道における事故は約1.7万件/年など。ほかは不明
3)人為的導入種による捕殺: 実数不明
4)農地・漁場での事故: 刺網、延縄、流し網などでの混獲で1年間に数十万羽?
5)中毒(鉛・農薬・重油など): 一部除き実数不明などが大きなところです。

このうち、どのような動物が救護されているのでしょう(羽山、1996)。1年間に救護される野生動物として、自治体把握分として約2万件で、70%以上が鳥類の普通種です。さらに、最終的に野生に復帰するものは、そのうち約20%です。しかし、復帰した個体について、追跡調査がほとんど行われていない現状ですので、どの程度生き残っているのかは、ほとんど不明です。また、野生動物の保護増殖をゴールとした場合、野生復帰させた個体が、繁殖に参加しなければなりません。そのような解析も現状では不可能に近いでしょう。

救護活動の意義としては、1)(死体から)救護原因の解明、2)救護個体から生物学的・獣医学的基礎情報を得る、3)野生復帰できない個体を用い環境教育を行うなどが考えられています。そのためにも、基礎応用を含めた獣医学研究者や博物館・学校などとの参加が求められています。もう一度申しますが、救護を、治療とケア、復帰だけのものに捉えると、非常に狭いものになり、あまり意味をもたないことになります。

なお、野生復帰させた救護個体も、時には問題をもたらせることがあることが指摘されています。
1)遺伝子・種・生態系各レベルの多様性の撹乱: たとえば移入種(あるいは亜種)の放逐、在来種であっても全く地理的にかけ離れた地域の動物を放すなどは、遺伝子の汚染などにつながる
2)自然界への病原体拡散: 治療に用いた抗生物質により生じた耐性細菌や院内で感染したウイルスなど

このようなことが顕在化した場合、せっかくの好意ではじめた救護活動が、社会的批判の的になる可能性があります。最悪の場面を防止するためにも、やはり、獣医学会全体でバックアップする必要性が指摘されています。

文献
羽山伸一(1996) 野生動物救護の意義と問題点,野生動物救護ハンドブック,文永堂出版,東京:2-26.
藤巻裕蔵(1993) 野生動物の保護と救護を考える. 北海道獣医師会誌,37:119-123.

酪農学園大学・浅川満彦

ご質問 私は動物の歯科治療を得意にできる獣医師を目指しています。
まだ、獣医学科入学を目指している段階ですが歯科治療に関する情報が欲しいと思っています。
もちろん専門的な事は分からないので、教科書的な情報とゆうのではなく例えば......
1) 現在、獣医学で歯科治療がどのように扱われているのか。
2) 獣医師の歯科に対する意識。
などなど、現在の状況、これからの必要性の有無などについてお願いします。

また、それに関する書籍・雑誌やホームページなどもご存知でしたら教えて下さい。2001/10/25

お答え 獣医学会宛にいただきました質問にお答えしたいと思います。

1)現在獣医学領域においても歯科に関する認識は高まりつつあります。アメリカ、ヨーロッパでは、獣医師科学専門医が活躍しております。しかし日本においては、まだまだ十分な取り組みがなされているとは言えません。根本的な問題は獣医学教育に携わる各大学の臨床教官の数が少なく、そこまで細分化する余裕がないからです。もっとも、アメリカでもすべての大学が常勤の歯科の専門医を抱えているわけではありませんが)。

専門医が行う歯科治療は、人間に対する歯科治療と同様です。もちろん、動物であるが故の限界もあります。費用の問題、たとえ歯がなくとも、人間が世話をする限り、必ずしも栄養障害、摂食障害が起きないこと、などもあり、すべてがきちんとした歯の治療を行わないことも多くあります。

2)現在日本においては、日本小動物歯科研究会、という研究会が設立され、勉強会、啓蒙活動、研修、などを行っております。その中心は、大学の先生ではなく、歯科に興味を持つ臨床家です。

それ以外の臨床家、大学教官の歯科に対する意識はまだ十分とは言えません。通常は、歯石を取る、歯周病になった歯を抜く、といったことが多くの獣医師の関心事です。

しかし、動物にとってもきちんと歯が残っていることは好ましいことは当然です。動物の家族の中での位置づけが高くなればなるほど、飼い主の方もきちんとした歯の治療を望むことが多くなると思います。したがって、今後獣医歯科への要請は、高くなることはあっても、低くなることはないと思います。

獣医臨床への社会の要請は、ますます高度化しており、すでにほとんどの大学にCT、MRといった高価な機器が導入されています。また、大学においてもより高度な診療を目指して、小さな獣医学教育組織を合併によって大きくし、より高度な診療を供給し、かつ学生を教育するよう努力が続けられています。しかし、そのプライオリティは、外科、内科、といったより重大疾患の多い分野から進められると思います。その中で、歯科も高度化の道をたどることは間違いありませんが、時間は少し長くか
かるであろうと思います。

小動物の歯科関係の研究会は独自のホームページを持っていないとのことです。下記のホームページアドレスは、山口で開業されている獣医師のホームページのものですが、その中に、歯科研究会のことが書かれています。参考にしてみてください。
http://ww5.tiki.ne.jp/~amicapet/

都内獣医系大学教官より

ご質問 建設現場の近くにペットショップがあり、建設工事による振動や騒音で生じる動物のストレスや病気などについて配慮したいと考えています。

問題となりそうな振動や騒音のレベルに関する研究事例、指標などがございましたらご紹介頂けませんでしょうか。宜しくお願い申し上げます。2001/10/17

お答え

問合せの振動・騒音問題ですが、ペットへの直接的影響についての研究となると事例は少ないと思いますが、独立行政法人 国立環境研究所収集のデータベースhttp://www.nies.go.jp/db/index.html の中にINFOTERRA(国際環境情報源照会システム) というものがあり、ここから探っていきますと騒音・振動問題の国内外のデータが得られます。

以前は同研究所の内部に騒音関係や地盤沈下の専門家が何名かいましたが、今は時代 の流れでいなくなりました。私もこの研究所を離れて時間が経ちましたため最近の情報には疎くなっています。

しかし、上記のINFOTERRAには対応する大学等の研究室や研究者が具体的に示されていますので、それらを参考にして頂ければと思います。

昔の騒音・振動の生体影響に関する研究は、繁殖率、泌乳量、痙攣発作の誘発度(マウス、ラット)などを指標にするものが多かったです。1970年以降は低周波振動が問題になり、この頃には脳波や睡眠時間、血圧(脈波)などが計測されていました。

以下、かなり古い文献で申し訳ありませんが、関連のものをリストします。(私が保管している文献です。)

西脇仁一:「耳に聞こえぬ音による公害ー低周波騒音のことなどー」
日本機械学雑誌 80巻、698号、95-99.(昭和52年)。
坂本 弘、松井清夫:「騒音と副腎機能」
日本臨床 28巻5号、176-179.
西脇仁一:「超低周波騒音の問題点」
公害と対策 14巻 2号 125-143.
中野有朋:「機械から発生する超低周波騒音とその対策」
公害と対策 14巻 2号 145-147.
斎木三郎、毛戸秀幸:「高速道路における低周波音の実態とその対策」
公害と対策 14巻 2号 148-154.
斎藤正男:「低周波音の測定法と今後の課題」
公害と対策 14巻 2号 155-158.
汐見文隆:「低周波音による住民被害の実情を追って」
公害と対策 14巻 2号 159-165.
(財)日本公衆衛生協会:「騒音関係文献抄録集3 -昭和44年度厚生省公害調査研究費ー」
(財)日本公衆衛生協会:「騒音関係文献抄録集4 -昭和45年度厚生省公害調査研究費ー
(財)日本公衆衛生協会:「振動と騒音の複合による生理的影響に関する研究」(昭和52年度 環境庁委託業務結果報告書)
(財)日本公衆衛生協会:「振動の生理的影響に関する研究委託報告書」(環境庁昭和48年度公害防止調査研究)
(財)日本公衆衛生協会:「振動の生理的影響に関する研究委託報告書」(環境庁昭和50年度公害防止調査研究)
(財)日本公衆衛生協会:「振動の生理的影響に関する研究委託報告書」(環境庁昭和51年度公害防止調査研究)
長田泰公:「騒音の心身への影響」
建築技術 163-169.(1978.12).
坂本 弘ほか:「騒音の精神運動活性への影響」
日衛誌 33巻 6号、1979.
大久保千代次ほか:「指先脈波振幅に対する間欠的騒音の影響」
公衆衛生院研究報告 25巻 1号、1976.
長田泰公ほか:「短時間の連続および断続騒音の睡眠に及ぼす影響」
公衆衛生院研究報告 18巻 1号、1969.
長田泰公ほか:「航空機騒音、とくにそのレベルと頻度の生理的影響について」
公衆衛生院研究報告 21巻 2号、1972.
長田泰公:「騒音と学習」
Yasutaka Osada, et al.,: Vasoconstricting effect and perceived noisiness of intermittennt noise.
公衆衛生院研究報告 26巻 3,4号、1977.


東京大学大学院農学生命科学研究科
獣医学専攻比較病態生理学教室 教授   局 博一

ご質問 猫エイズの薬はないのでしょうか?
人間のエイズ薬(核酸系逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬)を猫に投与している動物病院などはないのでしょうか?
最新の猫エイズ治療を受けられる病院をお教え下さい!! 2001/9/25

お答え

猫のエイズに関するご質問にお答えします。

猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染しているからといって、エイズの状態にあるとは限りません。したがって、それぞれの症例の状況に即して治療を考えることが重要と思います。

ご質問のあった逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬の一部のものはFIVに対しても有効であることがわかっています。しかし、これらの薬剤の使用はまだ研究段階にあります。私共の研究室では、その薬剤に関する実験を行っておりますが、臨床例に使用するまでにはもう少し時間がかかりそうです。

私共の病院では多くのFIV感染症例の治療を行っておりますので、もし、こちらの病院に診察にいらっしゃることができるようでしたら、その症例にあったアドバイスをすることは可能です。

東京大学大学院農学生命科学研究科   獣医内科学教室  教授  辻本 元

ご質問 突然申し訳ありません。私は高校2年生の女です。国連で動物の保護を行っているところがあるかどうかお聞きしたいのです。

また、その仕事に就くためにはどのよ うな試験を受ければよいのですか?お答え頂ければ幸いです。2001/9/17

お答え

残念ながら、日本獣医学会には国連の情報がありません。日本にある日本にある国連関連機関の一覧表wpお送りしますので、関係がありそうなところに問い合わせてください。国際連合広報センターが対応してくれると思います。

・ 国際連合大学  [The United Nations University: UNU]
〒150-8925 東京都渋谷区神宮前5-53-70
Tel: 03-3499-2811 Fax: 03-3499-2828
UNU Homepage: http: //www.unu.edu
E-mail:mbox@hq.unu.edu

・ 国際熱帯木材機関  [International Tropical Timber Organization: ITTO]
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1パシフィコヨコハマ 国際協力センター5階
Tel: 045-223-1110 Fax: 045-223-1111
ITTO Homepage: http: //www.itto.or.jp(現在、建設中)
E-mail:itto@mail.itto-unet.ocn.ne.jp(英語のみ)

・ 国際連合アジア太平洋統計研修所
[United Nations Statistical Institute forsia and the Pacific: SIAP]
〒261-8787 千葉県千葉市美浜区若葉3丁目2-2日本貿易振興会アジア経済研究所ビル
Tel: 043-299-9782 Fax: 043-299-9780
SIAP Homepage: http://www1.kcom.ne.jp/~unsiap
E-mail:unsiap@ma.kcom.ne.jp(英語のみ)

・ 国際連合アジア極東犯罪防止研修所 [The Asia and Far East Institute for the Prevention of Crime and the Treatment of Offenders: UNAFEI]
〒183-0057 東京都府中市晴見町1-26
Tel: 0423-33-7021 Fax: 0423-33-7024
UNAFEI Homepage: http: //www.unafei.or.jp
E-mail:LDJ00272@niftyserve.or.jp

・ 国際連合人間居住センター(ハビタット)福岡事務所 [United Nations Centre for Human Settlements(Habitat), Fukuoka Office: UNCHS(Habitat)]
〒810-0001 福岡市中央区天神1-1-1
アクロス福岡8階
Tel: 092-724-7121 Fax: 092-724-7124
UNCHS(Habitat) Homepage:
http: //habitat.unchs.org/home.htm
E-mail:habitat.fukuoka@unchs.org(英語のみ)

・ 国際連合地域開発センター [United Nations Centre for Regional Development: UNCRD]
〒450-0001 愛知県名古屋市中村区那古野1-47-1名古屋国際センタービル6階
Tel: 052-561-9377 Fax: 052-561-9375
UNCRD Homepage: http: //www.uncrd.or.jp
E-mail:rep@uncrd.or.jp

・ 国際連合開発計画東京事務所 [United Nations Development Programme, Tokyo Office: UNDP]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル8階
Tel: 03-5467-4751/2 Fax: 03-5467-4753
UNDP Homepage: http: //www.undp.org
UNDP Tokyo Office Homepage: http: //www.undp.or.jp
E-mail:fvgh6950@mb.infoweb.ne.jp

・ 国際連合環境計画-国際環境技術センター [United Nations Environment Programme, International Environmental Technology Centre: UNEP-IETC]大阪事務所
〒538-0036 大阪府大阪市鶴見区緑地公園2-110
Tel: 06-6915-4580/81 Fax: 06-6915-0304
滋賀事務所
〒525-0001 滋賀県草津市下物町1091
Tel: 077-568-4582 Fax: 077-568-4587
UNEP Homepage: http: //www.unep.org
UNEP-IETC Homepage: http: //www.unep.or.jp
E-mail:ietc@unep.or.jp(英語のみ)

・ 国際連合難民高等弁務官 日本・韓国地域事務所 [United Nations High Commissioner for Refugees, Regional Office for Japan and the Republic of Korea: UNHCR]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル6階
Tel: 03-3499-2310 Fax: 03-3499-2273
UNHCR Homepage: http: //www.unhcr.ch
UNHCR Tokyo Office Homepage: http: //www.unhcr.or.jp
E-mail:jpnto@unhcr.ch(英語のみ)

・ 国際連合広報センター [United Nations Information Centre: UNIC]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル8階
Tel: 03-5467-4451/4453 Fax: 03-5467-4455
UNIC Tokyo Homepage: http: //www.unic.or.jp
UN Homepage: http: //www.un.org
E-mail:unictok@blue.ocn.ne.jp

・ 国際連合児童基金(ユニセフ)駐日事務所 [United Nations Children's Fund Office in Japan: UNICEF]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル8階
Tel: 03-5467-4431 Fax: 03-5467-4437
UNICEF Homepage: http: //www.unicef.org
E-mail:unicefjp@sh0.po.iijnet.or.jp

・ 国際連合プロジェクトサービス機関東京事務所 [United Nations Office for Project Services, Tokyo office: UNOPS]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル7階
Tel: 03-5467-4230 Fax: 03-5467-4231
UNOPS Homepage: http: //www.unops.org
UNOPS Tokyo Homepage: http: //www.unu.edu/unops
E-mail:registrytokyo@unops.org(英語のみ)

・ 国際連合世界食糧計画日本事務所 [World Food Programme Office in Japan: WFP]
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1パシフィコヨコハマ 国際協力センター6階
Tel: 045-221-2510 Fax: 045-221-2511
WFP Homepage: http://www.wfp.org
WFP Office in Japan Homepage: http://www.wfp.or.jp

・ 国際連合食糧農業機関日本事務所 [Food and Agriculture Organization of the United Nations:FAO,Liason office in Japan]
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1パシフィコヨコハマ 国際協力センター6階
Tel: 045-222-1101 Fax: 045-222-1103
FAO HQS Homepage: http: //www.fao.org

・ 国際原子力機関東京地域事務所 [International Atomic Energy Agency, Regional Office in Tokyo: IAEA]
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋1-5-9精文館ビル9階
Tel: 03-3234-7186 Fax: 03-3234-7214

・ 国際復興開発銀行/国際開発協会(世界銀行)東京事務所 [IBRD/IDA(World Bank)Tokyo Office]
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2富国生命ビル10階
Tel: 03-3597-6650 Fax: 03-3597-6695
The World Bank Headquaters Homepage:
http: //www.worldbank.org
The World Bank Tokyo Office Homepage:
http://www.worldbank.or.jp
E-mail:pic@worldbanktokyo.or.jp

・ 国際金融公社 [International Finance Corporation, Tokyo Office: IFC]
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2富国生命ビル10階
Tel: 03-3597-6657 Fax: 03-3597-6698
IFC Homepage: http: //www.ifc.org

・ 国際労働事務局東京支局 [International Labour Office, Tokyo Branch Office: ILO]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル8階
Tel: 03-5467-2701/3 Fax: 03-5467-2700
ILO Homepage: http: //www.ilo.org/tokyo
E-mail:ilotokyo@mx5.nisiq.net

・ 国際通貨基金 [International Monetary Fund, Regional Office for Asia and Pacific:IMF]
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2富国生命ビル21階
Tel: 03-3597-6700 Fax: 03-3597-6705
IMF Homepage: http: //www.imf.org

・ 国際連合工業開発機関東京投資促進事務所 [United Nations Industrial Development Organization Investment
Promotion Service, Tokyo: UNIDO IPS Tokyo]
〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1新青山ビル西館16階
Tel: 03-3402-9341 Fax: 03-3402-9384
UNIDO Homepage: http: //www.unido.org
E-mail:ipstokyo@magical.egg.or.jp

・ 世界保健機関、健康開発総合研究センター [World Health Organization, Centre for Health Development]
〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5-1I.H.D. センタービル9階
Tel: 078-230-3100 Fax: 078-230-3178
WHO Headquaters Homepage: http: //www.who.ch
WHO Kobe Homepage: http: //www.who.or.jp
E-mail:wck@who.or.jp(英語のみ)

日本獣医学会理事 東京大学教授 唐木英明

ご質問 今高2の者です。小さい頃から動物が好きで、その関係の仕事に就きたいと思っています!! そこで将来海獣類を保護する仕事に就きたいのですが、その場合は水産学部と獣医学部のどちらに進んだほうがいいのでしょうか?2001/9/17

お答え 獣医学は海獣に限らずたくさんの種類の動物の病気の予防と治療が一つの役割です。その他に、狂犬病などの病気の動物から人間への感染を予防すること、牛乳や肉などの畜産製品の安全性を確認すること、動物愛護、自然保護の研究と活動をすること、動物の病気、行動、進化などについての研究をすることと、非常に広い範囲をカバーしています。そして、国家試験に合格しないと獣医師という職業につくことができません。

水産学も大変に広い範囲をカバーする学問で、魚の生理、病気、生態、水産資源としての魚の研究、食品としての魚の研究、海の生物がつくる化学物質の研究、自然保護などをカバーしています(私は水産の専門家ではないので、多少不正確なところが
あるかもしれません)。

「海獣を保護する仕事」ということですが、具体的にはどこに勤務をして、どのような仕事をしたいのか、それをまず決めること、そして、そんな仕事を実際にしている人にあって、どんな勉強をしたらよいのかを聞くことも大事だと思います。

夢に向かってがんばって勉強をしてください。

日本獣医学会理事 東京大学教授 唐木英明

ご質問 こんにちは。 ひとつ質問させてください。

私は動物福祉に興味をいだいてます。

日本では学校が少ないながらも色々と探している最中です。 海外研修には特に興味がわいてきます。 同時にいっその事、動物先進国のヨーロッパで留学をしたらどうなのだろうか?と も考えております。

その中でも専門学校が多い、イギリスで少し探してみたのですが、 もっとも適切なのがanimal careのようで、 調べてみると実際に動物の繁殖やトリミングや動物看護などを実地研修も含めて勉 強できると聞きました。 そして日本の学校も海外研修があると言うことで、 やはり海外のレベルは高いのだろうと感じています。

そこで質問です。

イギリスで資格(Diploma)を取れたとしても日本ではまったく意味のないことになってしまうのでしょうか? 当然せっかく勉強してきたのですから日本でその知識を生かせるほうが当然喜ばしいと思っています。 なのでイギリスでの資格が日本に帰ってきてどのように扱われるのかを 「まったく意味がない」等、手厳しい返答も含めどうかご返答下さい。

もしかしたらカテゴリー外の質問をしているかもしれませんが、 返答できる内容でしたら、ご返答のほどよろしくお願いします。
2001/8/24

お答え

日本には、「獣医師」以外に小動物関係の「資格」はありません。

だから、海外での「Diploma」があるからといって、日本の資格に読み替えることはあ りません。

また海外の獣医師資格はそのままでは日本で通用しません。 動物福祉についての「考え方」がイギリスと日本ではずいぶん違うところがあります が、 それでも、海外で勉強した知識を役に立てる場所は日本にもあると思います。

「資格」もだいじですが、もっと大事なのは「目的」と「知識」と「実力」です。 あなたは「何をしたいのか」、そのためには「どんな知識と技術が必要なのか」、 それは「どこで手に入るのか」、その知識と実力を「どこで、どのように役に立てた いのか」を 具体的に、十分に考え、調べてみてください。 あなたの夢が実現することを願っています。

日本獣医学会理事 東京大学教授 唐木英明

ご質問 初めまして。私は獣医学科への学士編入を目指し、受験勉強中の者です。 

愛玩動物の歯について特に興味があります。しかし獣医療域での歯科治療をあまり聞いたりする機会はありませんが、それは動物に必要ないことなのでしょうか?  

また、獣医師に求められるものってどんなものだと思われますか?とても抽象的な尋ね方ですみません。よろしくお願いします。
2001/8/23

お答え 従来の獣医臨床は内科、外科、繁殖科に大別されていましたが、近年、伴侶動物の臨床を中心に専門分化が進む傾向が見られます。

例えば、皮膚科、眼科、歯科、神経科などを専門とする開業獣医師が、まだ数は少ないですが、登場し、今後もこのような専門分化は進んでゆくと考えられます。勿論、動物にも歯の病気はありますので、歯科を専門とする獣医さんも増えてゆくことでしょう。  

獣医師に求められる最も大切なことは、動物に対する愛情です。これはどんな獣医師にも共通する資質です。あとは、その人の能力、興味、適性および環境に従って、様々な分野や職場で獣医師が活躍しています。

北海道大学教授 梅村孝司

ご質問 突然で申し訳ありませんが、質問をさせてください。
私は獣医学部を目指す受験生ですが、今現在、犬や猫は愛玩動物として定着しており、獣医師=伴侶動物のお医者さんという風な考えしか持っていませんでした。

しかし、獣医学とは牛などの産業動物のために作られた学問だということを最近初めて知りました。そのような獣医学の歴史や、今現在の大動物の獣医師の活動とはどのようなものか知りたいのですが、教えていただけないでしょうか?よろしくお願いいたします。2001/7/17

お答え

日本獣医学会のHP(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/index.html)の他に日本獣医師会(http://group.lin.go.jp/nichiju/)のHPが参考になると思います。

歴史や教育 については、獣医学教育改善HP (http://jvm2.vm.a.u-tokyo.ac.jp/Kaken/Home-old.htm)をご覧ください。

日本獣医学会理事、東京大学教授 唐木英明

ご質問 野生動物の保護に関心があります。
獣医学の分野からはどのように野生動物の保護に関わる事ができるでしょうか?2001/7/10

お答え

野生動物の保護,すなわち生物多様性の保全には,獣医学的な知識と技術が不可欠です.さまざまな関わり方があるので,幾つか例をあげてお答えします.

一番分かりやすいのが人工繁殖ではないでしょうか.この技術は,主として産業動物において発達したものですが,野生動物にも応用することができます.近年,「生息域外保全(野生状態での存続が危惧される種を人間の管理下で繁殖させ絶滅を防ぐこと)」を目的に,動物園などでは希少種の人工繁殖が盛んに行われています.人工繁殖に際しては,麻酔,精液や卵の採取,人工授精,胚移植など様々な獣医学的テクニックが使われます.

一方,「生息域内保全(動物を元々の生息地,すなわち野生状態で存続させること)」でも獣医学は活躍します.野生動物では保護を目的とする捕獲調査がしばしば行われますが,その際に血液などを採取して健康診断を行います.繁殖状態や栄養状態の悪化が高率で確認されれば,それは動物たちに何らかの異変が生じている証拠です.このような状況を早く察知し対策を立てることで,生息数の減少や絶滅を予防することができます.捕獲の際,動物の苦痛やストレスは可能な限り軽減させなければなりませんが,これも獣医の腕の見せ所です.

野生動物における感染症の流行は,時に種や個体群の存続に危機的な状況をもたらします(ジステンパ-によるアザラシやライオンの大量死は記憶に新しい事件です).そのため感染症が発生した場合には,一刻も早く病原体や感染ルートを解明し流行に歯止めをかけなければなりません.このような役割も獣医学が担うことになります.なお,野生動物の病気がヒトや家畜に伝染する場合も少なくありません.したがって,野生動物の感染症対策は,人間社会にも関わりが深いことなのです.

傷ついた野生動物を治療する傷病鳥獣救護活動も獣医学の役割です.野生復帰できない場合も多く保全生物学上の効率は良くありませんが,自然保護思想の普及という点では大きな意義があります.ただし,世界的に多発傾向にある油流出事故(タンカーの座礁やパイプラインの損傷による)の際には,一度に多数の動物を救うことができます.また北海道で大量発生したワシ類の鉛中毒も,搬入個体の綿密な検査と治療により原因が解明されました.関連のホームページがありますので,これもお知らせしておきます.アクセスしてみてください.http://www.ask.ne.jp/~wrvj/

以上,比較的身近な4項目をご紹介しましたが,最後に1つだけ補足しておきます.それは,生物多様性の保全は,他分野(生態学や社会学など)の技術者や研究者との共同作業であるということです.その意味では,「野生動物に関わる獣医学」は境界領域にある学問と言えるでしょう.より詳しく知りたい事があれば,また質問してください.

〒060-0818  札幌市北区北18条西9丁目
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室 鈴木 正嗣

ご質問 次の点についてお教え下さい。 ペットのミニブタ(Pot-Bellied Pig)を飼い始めました(本年4月5日生まれ)。単独飼いですがイヌの散歩するところを散歩させル-ティングをしています。又、夏に はイノシシの生存地域の山小屋(足跡がある)にも連れていく予定です。

このような ブタに必要な予防接種その他の予防的処置にはどのようなものが必要でしょうか。2001/6/27

お答え ブタはペットとはいえ、家畜への影響がありますので、重要な動物です。感染の恐れ がある監視伝染病、法定伝染病などが10以上もあります。ブタを外に出さなければ 問題は少ないのですが、野生動物が住む場所につれてゆくと、感染の心配がありま す。少なくとも、豚丹毒のワクチンはしておいたほうが良いでしょう。

専門的なことについては、お近くの家畜保健所に問い合わせるか、動物衛生研究所の中にある日本豚病研究会 今田由美子先生(〒305-0856 つくば市観音台3-1-5 Tel:0298-38-7874)にお問い合わせください。

日本獣医学会理事 東京大学教授 唐木英明

お答え

都会で動物病院を開いている者です。

お宅の豚さんは今は元気だと思います。でもご心配のとおり、豚には病気が沢山あり、家畜の豚は沢山ワクチン接種を行っています。一方、野生の猪は全く予防をしていないわけです。養豚業者は商品が大事ですから、野生の動物と接触させないように飼っています。

山に入るときは人間でも虫に刺されないように長袖を着たり注意しますが、豚は裸でしかも地面近く、草に顔をつけて歩くので、それだけダニなどに刺される危険が大きいと言えます。吸血昆虫は、汚染された糞尿とともに、病気を媒介する危険があります。また、豚が昆虫などを食べて寄生虫をお腹に入れてしまうこともあります。

豚の健康のためにも、それを飼っている人の健康のためにも、また、養豚業者のためにもあまり、山など遠くまでつれて歩かない方が良いでしょう。もしも、お宅の豚がどこかで野生の猪から病気をもらったとしたら、日々の生活のなかで気付かないで、あちこちに病原を撒いて歩くかも知れません。そのような状態が起こると家畜の豚への影響があると困ります。多くの場合、1匹の家畜に病気が入ったとしたら、そこの業者の家畜は全滅させるのです。口蹄疫の騒ぎからもお分かりだと思います。

国民が食べる大事な食料を確保するため、国は家畜の病気予防に注意を払い法律の規制を行っています。

なお、動物病院を開いているものとすれば、ワクチンなどの用意などに困難を伴います。1匹分を使った残りは捨てる事になります。また、オスならば牙も生えるだろうし、戸惑いを隠せません。 

お宅のミニブタの病気予防について、国の動物衛生の機関にかかわっている方からご意見をいただきましたので、お知らせします。 

「非常に回答に窮するところですが,基本的に次のように私見を述べさせていただきます。

1)ペットであっても,しかもそれが1,2頭であろうと地域などと均衡を保つといいますか,協調して産業動物を飼育するときと同様に病気予防をとらえ,動物を飼育する人の責任として生じるものとも考えていただきたい。

一方,飼っているペットのほうから見れば,かなり孤立した状態で飼われている事になり,場合によっては無菌状態になっており,山であろうと他へ移動することによりいろいろの疾病の感染の機会を受けるということにもなりかねません。

2)産業としての豚のワクチン接種プログラムはいろいろの本などに出ていますが、 ミニブタでも同様に適応を検討する必要があるでしょう。特に次のa),b),c)はあらかじめ検討する必要があります。

a)豚コレラの防疫については,近年の発生状況,平成8年度以降実施してきた豚コレラ撲滅対策の成果等を踏まえ,平成12年10月1日以降原則として全国的にワクチン接種を中止するとともに,防疫上の混乱を回避するため,同ワクチンを,家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号。)第50条の規定によりその使用につき都道府県知事の許可を要する動物用生物学的製剤として指定した。今後,国及び都道府県は,家畜衛生関係団体,養豚関係団体及び養豚経営者の協力の下,早期に全面的なワクチン接種の中止がなされ,国内における豚コレラの撲滅が達成されるよう次の対策を実施する。

となっていますので現段階ではこれに従うことが原則です。

詳しくはあちこちのWEBにありますので、参考にしてください。
http://www.sat.affrc.go.jp/

b)オーエスキー病の防疫対策については、全国における本病の発生及び浸潤の状況を踏まえ、従来どおり、定期的な抗体検査の実施並びに野外ウイルス抗体陰性豚の出荷及び導入の推進により本病の発生予防と清浄維持を図るとともに、臨床症状を呈している豚及び野外ウイルス抗体陽性豚が確認された場合にあっては、早期淘汰の実施 により清浄化を図ることをその基本とするものとする。この場合、具体的な防疫対策は、本病の発生及び浸潤状況が地域により著しい差異をみせていることにかんがみ、地域別に講ずることとする。

清浄地域,準清浄地域,清浄化推進地域と対応が異なりますので近くの家畜保健衛生所などと相談するのがよいです。

c)日本脳炎,パルボウイルスについては妊娠させるつもりがあれば事前に接種が推奨されます。

3)ワクチンは産業動物用に作られており、1本でも多数の動物用に作られています。ですから入手のための量や経費の問題などいろいろありそうですが,これらの動物を個人がペットとして飼うにはそれ相当の配慮と責任の必要性をわれわれ関係者も一般の方々にもっと分かってもらう努力が必要なのでしょう。

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全国学校飼育動物獣医師連絡協議会
中川 美穂子(中川動物病院内)
mihi-n@wc4.so-net.ne.jp
0422(53)5866 西東京
学校飼育動物を考えるペ-ジ」公開中

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2001/6/29

ご質問 今、中国で流行ってる「トリインフルエンザ」の性状を教えてください。
2001/6/19

お答え


2001年に香港で発生した家禽のH5N1インフルエンザについて

1997年に香港で発生したニワトリとヒトのH5N1インフルエンザ事件の際には、150万の家禽を処分してこれを清浄化した。以来、家禽の小売りと卸売りマーケットおよびガチョウとアヒルの処理場で定期的に月一回ずつ検査してきた。2001年の4月に、それまでに28,000サンプルを調べてH5N1ウイルスは陰性であったが、家禽小売りマーケットのニワトリからH5N1インフルエンザウイルスが3年ぶりに分離された。そこで、未同定であった分離株を遡って調べた結果、2001年の2月にはH5N1ウイルスがマーケットに存在していたことが判った。

ガチョウとアヒルの処理センター内の卸売りマーケットの定期検査によって、背景がった。すなわち、ガチョウには、Goose/Guandong/96(GoGd)-likeウイルスが存続しいたが、2000年8月にアヒルからこれが分離された。それ以来、GO/Gd-likeウイルスがアヒルとガチョウの両者から分離されている。2000年12月にガチョウとアヒルからそれぞれ分離された2株はいずれも、PA, PB2, NSとM遺伝子が水禽のウイルス遺伝プールに由来する遺伝子再集合体であることが判明した。Dr. Websterによる病原試験で、この2株はニワトリに対して高病原性であることが判った。

2001年に2つの"index"小売りマーケットのサンプルから最近分離された4株のウイルスの遺伝子の全塩基配列が決定された。4株とも、12月に分離されたウイルスと同様に、PA, PB2, NSとM遺伝子の再集合が認められた。しかし、3株にはこれに加えて、 さらに遺伝子の再集合がある。すなわち、2株はNPとPB1遺伝子を水禽のインフルエンザウイルス遺伝子プールから、他の1株はNP遺伝子をH9N2(Y280-like)ウイルスから獲得している。

2001年4月に3つの小売りマーケットで実施したサンプリングでは、H5N1ウイルスがニワトリ、silky chicken、キジ、ウズラとハトの糞便とニワトリの給水樋から分離された。全ての鳥は一見健康であった。

2001年5月中旬に、最初にウイルスが分離された小売りマーケットでニワトリの死亡率が高くなったので、H5N1ウイルスが検出されたマーケットの鳥を殺処分することが決定された。[関連記事:朝日新聞5月17日 「香港政府は16日、市場で大量死したニワトリからインフルエンザウイルス(H5N1)が検出されたと発表し、3市場を閉鎖、ニワトリなど約5千羽の処分を始めた。」]

その後間もなく、少数ではあるが、他の小売りマーケットでニワトリが斃死した。香港の農業水産食糧庁(AFCD)がこれらの斃死ニワトリと他のマーケットのニワトリからH5N1ウイルスを分離したため、全ての家禽の輸入停止と香港中の小売りマーケットの全ての鳥を殺処分する決定をした。[関連記事:朝日新聞5月18日- 「インフルエンザウイルス(5N1)によるニワトリの大量死が見つかった香港で18日、政府は被害拡大を防止するため、香港全域のニワトリ、ガチョウ、アヒルなど家きん類120万羽を今後2週間ですべて処分すると発表した。」]

家禽を処分したマーケットに残存ウイルスの検出のため、センチネルのニワトリを配置した。

香港大学とAFCDによって分離されたさらに20株の遺伝子解析の成績は、PA, PB2, NSとMならびにPB1とNP遺伝子の再集合がの3つの主要な遺伝子構成のセットで起こり得ることを示している。さらに、NP遺伝子が他のソース(H9N2ウイルス)由来のウイルスが1株、水禽のウイルス由来のウイルスが1株あった。

小売りマーケットの営業再開は2001年6月11日に決定される予定。[関連記事:毎日新聞6月13日- 「香港特別行政区政府は11日、鶏やガチョウなどの鳥インフルエンザの新たな感染の恐れがなくなったとして15日に家きん類市場を解禁し、16日から生きた家きん類の販売を再開すると発表した。5月に発生以来、これまで120万羽の家きん類が処分された。」]

鳥の処分の前に、H9N2ウイルスとH6N1ウイルスが小売りマーケットのウズラから分離されていたことに注意すべきである。いずれも1997年の高病原性ウイルスにその遺伝子を供給したウイルスだからである。H6N1ウイルスは2000年の2月に小売りマーケットのウズラに再び認められている。H9N2ウイルスはずっと高レベルで維持されている。

北海道大学大学院獣医学研究科教授 喜田 宏

ご質問 私は、大阪で工学を学ぶ大学生です。

現在、高校二年生の女の子の家庭教師としてアルバイトをしているのですが、その子が、獣医の看護婦になりたいということなので 色々アドバイスをしてあげたいなと思うのですが、なかなか獣医の看護婦に関する資 料などが見つかりません。

その職に就くには、 資格が必要なのか、また、専門学校や学校はあるのか、などなどを知りたいのです が、教えて頂けないでしょうか。お願いします。 2001/5/23

お答え

たくさんの学校がありますが、良い学校を選ぶことが大事です。 日本小動物獣医師会の「認定」を受けた学校なら安心できると思います。 詳しいことは、下記にお問い合わせください。

日本小動物獣医師会

〒107-0062東京都港区南青山1-10-2南青山Aビル3F
TEL 03-3475-1746
FAX 03-3475-0888

日本獣医学会理事 東京大学教授 唐木英明

ご質問 初めまして。

現在高校3年生で、獣医学科への進学を検討中なんですが、就職先について質問があります。

獣医業を営む以外にもどのような就職先があるのでしょうか?
具体的な就職先よりも分野の種類を上げて貰うと助かります。
よろしくお願いします。2001/5/23

お答え 獣医学科を卒業した学生の進路は、4つに分けられます。

1)開業獣医師あるいは勤務獣医師として動物臨床業務に従事する
2)中央や、地方自治体に勤務して、公衆衛生、食品衛生、動物愛護などの業務に従事する
3)企業に勤務して、食品、医薬品関連の研究業務などに従事する
4)大学院に進学して、研究者になる

毎年、約1,000名の国公私立大学獣医学科卒業生が出ますが、臨床業務に1/3、中央と地方自治体に1/3、企業と大学院を合わせて1/3くらいの割合です。

日本獣医学会理事 東京大学教授 唐木英明

ご質問 馬の腸の中に石が出来るケースがあります。ボロ(馬糞)と一緒に出るうちは良 いのですが、腸の中で大きく成りすぎた場合、腸が破裂して死に至ってしまいます。
石の出来る要因、そして予防方法を教えて下さい。また、石を溶かす治療法 は在るのでしょうか。幾つかの関係機関に問い合わせたのですが、はっきりした 解答は得られないままです。 2001/4/9

お答え <石のできる原因>
ご質問の件は、『馬の腸結石』についてでした。馬の腸結石は、そのほとんどが リン酸アンモニウムマグネシウムという成分です。マグネシウムを多く含む牧草 が主な原因になりますが、さらに、腸管内のpHが高いと結石ができやすくなります。腸結石が形成されるのは大結腸の中で、大きなものではソフトボール大にな ることもあります。小さな結石であれば、小結腸を通過して排便とともに排泄さ れることもあります。また、大きな腸結石でも、大結腸内でゴロゴロしている間 は、馬は軽い疝痛症状を示す程度です。一番問題となるのは、大きな腸結石が大 結腸内から小結腸に移動して腸管を閉塞した時です。この場合、馬は排便できな くなり、重度の疝痛症状を示します。開腹術で外科的に腸結石を摘出しない限 り、馬は死亡します。

馬に乾草だけを食べさせていると、結腸内のpHが上昇することが知られていま す。また、乾草に穀物を混ぜ、穀物の比率を高くするほど腸管内のpHが低下し、 リン酸アンモニウムマグネシウムの結石が生じにくくなります。例えば、馬に乾 草のみを与えると腸管内はpH 6.9ですが、乾草:穀物=1:2とするとpH 6.4、穀 物のみを与えるとpH 6.2になったという実験の報告があります。

アメリカ合衆国では、腸結石で外科手術が実施される馬の頭数がカリフォルニア など西部や南西部の地域に圧倒的に多いことが知られています。この要因とし て、
(1)カリフォルニア地方で用いている牧草のマグネシウム含量が高い。
(2)北部の寒冷地では寒さに耐えるために馬のカロリー要求量が高く、乾草以 外に穀物を多く与えているが、南西部の温かい地域ではカロリー要求量が比較的 低く、飼料に占める乾草の比率が高い。
といったことが考えられています。私たちの経験でも、北海道には腸結石で疝痛症状を示す馬はほとんどいませんが、本 州では乗馬を中心に結構発生しているようです。

<馬の腸結石の治療法/予防法>
大きな腸結石によって腸管の閉塞が起こった場合には、開腹術で外科的に腸結 石を取り出すしか治療法はありません。閉塞していなければ、酢を飲ませて腸管 内のpHを下げることで腸結石の形成を抑制できるかも知れません。酢を1日2回約250mlずつ馬に飲ませることで腸結石の発生を軽減できたという話もあります。
最初に酢を飲ませた時には下痢になるかも知れません。
馬の腸結石を予防する手段は、
(1)マグネシウム含量の高い乾草を避ける。
(2)穀物の比率をあげる。
(3)腸管内のpHを下げる。
といったことがあげられます。馬に乾草:穀物=2:1を与え、1日2回112mlのリンゴ酢を飲ませると、21 日後に腸管内のpHが6.0~6.5に維持され、90日間は副作用が認められなかったと いう報告があります。しかし、腸管内pHを急激にpH 5.0未満に低下させると疝痛 や蹄葉炎を生じる危険があります。

酪農学園大学獣医外科学教室講師  山下和人

ご質問  私は、熊本県に住んでいる高校2年生です。
将来獣医師になりたいと思っているのですが、猫・犬アレルギーを持っています。
今回、質問したいことは
1.獣医師の中に猫・犬アレルギーを持った人がいらしゃいますか?
2.鳥などの小さい生き物を詳しく勉強するには、どこの大学が良いですか?
以上です。よろしくおねがいします。2001/4/5

お答え お応えする私も、実はアレルギー体質で、子供の頃はアトピー性皮膚炎と喘息に苦しみ、今はアレルギー性鼻炎を持っています。抗体検査をすると、犬猫に陽性反応が出ます。でも、今犬を飼っています。毎日いっしょに遊んでいますが、多少鼻がむずむずする気がしますが、たいしたことはないので気にしないことにしています。アレルギーの人は非常に多いと思いますが、要はどれ程生活に支障を来すかです。アレルギー体質の人にとって、アレルギーの対象となるものには犬猫以外にもたくさんあるはずで、それらをいちいち気にしていては身が持ちません。おおらかな気持ちでいれば良いと思います。

ただし、中にはアナフィラキシーといって、全身性にアレルギーが進行してショック状態となる例もあります。例えば、ウサギやネズミなどの実験動物に対して、この様な症状を示す人がいることも事実です。一度お医者さんに相談してみると良いでしょう。

鳥などの小動物を専門に研究している大学はとても少ないと思います。獣医学の規模からしてそこまで手が回らないというのが現状です。ただし、基本は同じですので、基礎をしっかり勉強していればどこの大学へ行っても大丈夫でしょう。

東京大学 尾崎博

ご質問

はじめまして。

マウス、ラットの酸素消費量について教えていただけたらと思います。

またその時に、それぞれの動物の体重、雌雄の別、安静時・活動時の別についてもおわかりになる範囲で結構ですので、教えてください。2001/2/28

 

お答え

理科年表によりますと以下の通りです。

マウス 体重35.7g 酸素消費量 1.59ml/g体重/h

ラット  体重545g  酸素消費量 0.84ml/g体重/h

東京大学大学院農学生命科学研究科比較病態生理 桑原正貴

ご質問

はじめまして

某自治体の保健衛生部に所属しております。
いつも貴重な情報ありがとう御座います。

じつは、「公衆衛生情報 2月号」という全国で広く読まれている雑誌に、生労働省技官による覆面座談会「崖っぷちの公衆衛生」という記事が掲載されています。

その文中に保健所の獣医師の業務に関する不愉快な発言があります。それは「獣医師は保健所で犬を焼くだけである」という記述でございます。これは保健衛生部で働く獣医師の実際を無視した発言であるばかりでなく保健所勤務以外の獣医師におかれましても獣医師としてのプライド、人格や尊厳を傷つけるものです。

一個人で厚生労働省に抗議しようにも何分力が弱く、諸先生方のお力をお借りして保健衛生部で働いている獣医師やその他の諸先生方に対する偏見の芽を取り除いて頂きたいとメールいたしました。

なお、上記の記事に関する文責は厚生労働省健康局総務課にあることが判明しております。どうぞよろしくお願い致します。

お答え お知らせありがとうございました。この問題は極めて重要かつ根の深いものであるとの認識に立って、日本獣医師会長ならびに日本獣医公衆衛生学会長に事実関係の調査と適正な対応を依頼しました。

その顛末は後日ご報告します。獣医師の社会的な地位 の確立と適正な待遇のためにさらに努力を重ねたいと思っています。

日本獣医学会理事 唐木英明

お答え 本件については,その後,日本獣医師会と全国公衆衛生獣医師協議会が連携して適宜対応が図られた結果,「公衆衛生情報」誌の3月号又は4月号に「2月号掲載の記事 の内容に不適切な表現があり、獣医師の名誉を傷つけた」という主旨の謝罪記事を掲載することになりました。

さらに,今後は「公衆衛生情報」誌において,公衆衛生獣医師がいかに人の健康と密接に関連した重要な職責を担っているかを含め,その業務内容が一般にも正しく理解されるような記事を掲載するよう,日本獣医師会から同誌発行元に要望したとのこ とです。

以上,本件のその後の経過について,日本獣医師会からお知らせがありましたので紹介します 。

ご質問 動物由来感染症(人がかかった例)が増加していると言われていますが、実際に何件発生していて、10年でどれぐらい増えたのでしょうか?わかれば教えてください。2001/2/8

お答え この質問はなかなか難しくて、現在調査をしています。わかり次第お答えしますのでもうしばらくお待ちください。

日本獣医学会理事 唐木英明

連絡先 日本獣医学会事務局
office@jsvs.or.jp | Tel: 03-5803-7761 | Fax: 03-5803-7762
〒113-0033 東京都文京区本郷6-26-12 東京RSビル7階
Tokyo RS Bldg. 6-26-12 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan

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