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Q:牛痘について

歴史の本を見ていたときに,オランダから牛痘(ウイルス)を手に入れて天然痘の予防接種をしていたと書いてありました。
当時,日本では牛痘に感染した牛はいなかったのか疑問に思いました。なぜわざわざオランダから牛痘(ウイルス)を入手する必要があったのか,教えてください。

お答え

牛痘は現在も日本には存在しません。
牛痘の病原体(牛痘ウイルス)は,昔は牛を自然宿主とする病原体と思われていました。しかし本疾病の発生は特定の国に限られており,牛を自然宿主と考えるには不自然なことが多くみられました。様々な疫学調査の結果,この病原体の自然宿主はヨーロッパに生息する野生の齧歯類で,その他の動物も野生の齧歯類を介して感染していること,猫科の動物がこの病原体に感染して発症していること,ヒトの発症例を調べると大部分が猫との接触があることがわかりました。従って今でもこの病気の発生はヨーロッパに限られています。
搾乳者がまれに牛から感染することもあると思いますが,猫を介して感染したヒトが牛と接触することにより牛に感染させている場合の方が多いと思われます。猫間の伝播は稀で,猫が本疾病の感染源となるのは特殊な場合です。
国内の牛の見られる類似した疾病は,偽牛痘や牛丘疹性口炎で,パラポックスウイルスという別の病原体による病気です。パラポックスウイルスは天然痘のワクチンとしては使用できません。

日本大学
教授 泉對 博
(2015/10/29 掲載)

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