The Japanese Society of Veterinary Science
 
TOP Q&A > 動物の病気や健康
Q:三毛猫の雄について

現在,家の猫から雄の三毛猫っぽいのが生まれました。生後1カ月です。獣医師にみてもらったら雄でした。ほんとに三毛猫の雄なのでしょうか?

三毛猫写真 三毛猫写真 三毛猫写真

お答え

 猫の毛色を決める遺伝子は全部で9種類あります。それぞれの遺伝子は2種類あり,W遺伝子は体全体を白一色にしますが,w遺伝子の場合,他の毛色の遺伝子が発現します。また,S遺伝子は白斑模様をつくりますが,s遺伝子では白斑がなくなります。A遺伝子は1本の毛の先端と根元が黒で中間が褐色になり,a遺伝子は1本の毛の色が黒一色になります。茶色(オレンジ)に関するO遺伝子は少し複雑で,O遺伝子は茶(オレンジ)色が発現し,o遺伝子は茶色が発現せず黒色となります。さらに,遺伝子型がOOの場合は,A遺伝子の発現を抑えて茶(オレンジ)色となり,ooの場合はA遺伝子が発現し,Ooの組み合わせの場合のみ,茶(オレンジ)色と黒色の斑となります。三毛猫の場合は,「黒」「白」「茶(オレンジ)」の3つの毛色が必要となるので,遺伝子型としては,ww(他の毛色が発現),SSまたはSs(白斑が入る),Oo(茶色を発現)の遺伝子を持つ必要があります。
「黒」と「白」を決定している遺伝子は常染色体上に存在していますが,「茶(オレンジ)」を決定するO遺伝子のみは性染色体であるX染色体上に存在しており,伴性遺伝を行います。性染色体は雌の場合XXですが,雄はXYとなるため,O遺伝子を一つしか持つことができず,「O」の茶色もしくは「o」の黒色しか生まれないことになります。
 正常な雄は性染色体がXYのため,三毛猫は生まれませんが,まれにX染色体が一つ増えて「XXY」となっているクラインフェルター症候群と言われる状態や性染色体が「XX」と「XY」の両方を持っている場合,本来はX遺伝子にあったO遺伝子が染色体の一部の切断により,他に付着(転座)して遺伝子の位置が変わってしまった突然変異などが原因で雄の三毛猫が出現します。どのくらいの割合で出現するかは,明確な資料はありませんが,3千匹に1頭という報告やクラインフェルター症候群の確立である3万匹に1頭などと言われています。
 猫の場合,精巣が陰嚢内に下降してくるのが生後20日くらいのため,生まれて直ぐに性別を区別することは一般の方には難しいかもしれません。子猫のしっぽを持ち上げて,後ろから観察し,雌であれば肛門の直ぐ下に外部生殖器の穴があり,雄であればもっと低い位置に包皮の開口部が見えます。写真で見る限り,雄で間違いないかと思います。ただし,三毛猫の雄は上記の様に性染色体異常であれば繁殖能力を持ちませんし,転座などの場合で繁殖能力があった場合に交配に用いても,雄の三毛猫が生まれる確率は変わりません。

日本大学生物資源科学部
大滝忠利
(2014/10/20 掲載)

連絡先 日本獣医学会事務局
officeco@jsvs.or.jp | Fax: 03-5803-7762
〒113-0033 東京都文京区本郷6-26-12 東京RSビル7階

Topページに戻る