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Q:猫の持っているウィルスとオオシストについて

 以前、野良猫の親3匹と子猫7匹に動物用の食器を使い餌を与えていました。子猫には指先や手のひらで餌を与えたこともありました。
食器は洗ったり洗わなかったり、指先や手のひらも急いでいる時などは洗わずにバッグ等を持って出かけたり、自宅にあるさまざまなものを触りました。
食器を素手で持ち食器も手も洗わないでいた事も何度かありました。
又、自宅のベランダやベランダの下の土の上に糞尿の形跡が見られます。月1回自宅周辺の掃除が行われますので私も参加し掃除を行っています。猫が糞尿をした土の上を通る時もしばしばあります。
猫に噛まれたり、爪で引っかかれたことはありません。当該する野良猫がウィルスや病原菌を保菌しているかどうかは調べていないのでわかりません。(捕まえて調べようとも容易には捕っまてくれませんから)。
現在は餌やりは行っていません。
つきましては以上のことによりご質問させていただきたく存じます。
  1. 猫の持っているウィルスや病原菌について
    (1) 猫の唾液から出たウィルスや病原菌が人に移りますか。
    (2) 感染した場合の症状、検査、治療はどうしたらいいのですか。
    (3) 猫の唾液から出たウィルスや病原菌の生存期間はどれくらいですか。
    (4)感染予防としては、流水で石鹸・洗剤で触れたところを洗うのがいいと思いますが、そのほかの消毒・殺菌の方法を教えてください。
    (5) 猫に餌を与えた指先や手のひらで、自宅にある物に触っている場合、その物品はどのように処理したらいいのですか。

  2. オオシストについて
    (1) 人に感染しますか。
    (2) 猫の糞尿の上を通った履物の底にオオシストが付着し、自宅の玄関やシューズボックス、又、その履物で外出した時や、自家用車に乗った時のフロアマット、勤務先などにオオシストを運ぶことになるのでしょうか。
    (3) オオシストが土中から出た場合と、土中での生存期間はどのくらいですか。
    (4) 消毒・殺菌方法ははありますか。
    (5) オオシストが付着した履物を玄関に放置している時、誤って玄関に素足で降り、その足で自宅内を歩いたり、その履物を履いた時など、家の中で、履物の中でオオシストが繁殖し生存しているのでしょうか。

お答え
  1. ネコの持っているウイルスや病原菌について
    ネコで注意すべき人獣共通感染症としては、猫ひっかき病とパスツレラ症があります。いずれも細菌によるものです。
     猫ひっかき病はBartonella henselaeという病原体により発生します。日本の飼育ネコの約7%程度がBartonella属菌を保菌していることが報告されていますが、感染したネコはほとんど症状を示しません。ネコ間ではネコノミが本菌を媒介します。ネコノミは菌血症を起こしている感染ネコの血液を吸血し、その後菌を含んだ糞を排泄してネコの体表に付着させます。グルーミングの際に歯牙や爪に菌が付着し、咬傷や引っ掻き傷を介して人に感染します。受傷後3-10日で丘疹が形成され、水疱、化膿、あるいは潰瘍に発展する場合があります。皮膚病変の形成から1-2週間後に痛みを伴うリンパ節炎が現れ、数週から数ヶ月間持続します。多くの症例で、発熱、悪寒、倦怠などの風邪様症状を示し、通常は自然治癒しますが、重症化すると脳炎などを起こす場合もあります。
     パスツレラ症は、Pasteurella multocidaという病原体により発生します。本菌は、イヌやネコの口腔内や爪に高率に常在し、とくにネコの保菌率は100%に近いとされています。本菌も、咬傷や引っ掻き傷など、創傷を介して人に感染します。受傷後、数時間から2日程度で局所の痛みと腫れを伴う炎症が発生します。外傷が軽度の場合、症状は局所に限定されることが多いとされていますが、炎症が創傷の深部まで達した場合は、骨膜の壊死、骨髄炎、敗血症性関節炎などを起こす場合があります。また、気道感染した場合は風邪様症状を示し、場合によっては肺炎を引き起こす場合があります。
     両者ともに人への感染経路は創傷感染であり、傷がなければ唾液に接触した程度で感染は成立しないと考えられますが、動物に触れた後は石鹸等を用いて手を洗うべきです。また、動物にキスをすることにより感染した例も報告されていますので、濃厚な接触は控えましょう。本菌はネコノミによって媒介されますので、ノミの駆除も本病を予防するためには重要です。ネコに餌を与えた食器等は洗剤で洗いましょう。
     もし、ネコに咬まれたり引っ掻かれたりした場合は、傷口を洗浄し、市販の消毒薬で消毒しましょう。傷口が深い場合、痛みがひどい場合は、医療機関で診察を受けてください。問診の際に、ネコからの受傷であることを伝えたり、動物との接触歴を説明することは正確な診断に役立ちます。

    岩手大学農学部 重茂克彦先生(1の回答)

  2. オオシストについて
    (1) 人に感染しますか。
    → 人に感染する種類のオーシストもあります(トキソプラズマなど)。

    (2) 猫の糞尿の上を通った履物の底にオオシストが付着し、自宅の玄関やシューズボックス、又、その履物で外出した時や、自家用車に乗った時のフロアマット、勤務先などにオオシストを運ぶことになるのでしょうか。
    → 可能性は否定できません。

    (3) オオシストが土中から出た場合と、土中での生存期間はどのくらいですか。
    →生存期間は温度や湿度条件等で異なりますが、条件が良ければ1年間以上生存します。

    (4) 消毒・殺菌方法ははありますか。
    →通常の消毒液には抵抗します。最も有効な殺滅方法は熱消毒です。

    (5) オオシストが付着した履物を玄関に放置している時、誤って玄関に素足で降り、その足で自宅内を歩いたり、その履物を履いた時など、家の中で、履物の中でオオシストが繁殖し生存しているのでしょうか。
    →オーシストが増殖することはありません。

    岩手大学農学部 板垣匡先生(2の回答)

 

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