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Q:延命治療なのか、先に希望が持てる病状か、判断が出来ない場合は?

 交通事故で一週間の集中治療中の猫が、生命の危機にあります。骨盤骨折ですが、4回の血液検査で、肝臓、腎臓の値が危険値で、おしっこ「ウンチ」は出ないので絞って出し、点滴と流動食で何とか生きています。下肢の浮腫みが全体に及び血栓も(腎臓や内臓)出来ているそうで、体がぶよぶよです。血小板が減って、薬の点滴で様子見ですが、助けられるのか…先生のはっきりした言葉は聴けません。
 延命治療であれば、もう、楽にしてあげたいとも思います。このような場合、飼い主の方から申し出出来るのでしょうか?苦痛を与えているだけなら可哀想です。広い視野にたったお話が聞きたいのでメールをしてみました。

お答え

 非常に重大な病状のようで、ご心配のことと思います。何らかの神経麻痺と血液凝固系に異常(血管内播種性凝固症候群:DIC)を呈している可能性も考えられ、必ずしも救命できるかどうかわからない、というような状況のように思えます。しかし、私自身で拝見しておらず、病状に関しては適切なことを申し上げることができません。したがって、このような例も含めて、一般的な側面での回答になることをご了解いただきたいと思います。
 動物が病気のために苦痛を感じ、その病気の治癒はかなり困難である、といった場合、安楽死は一つの選択肢と考えられます。これは、動物の側にたった「動物福祉」という観点から、より長い期間苦痛を受け続けることより安楽死を選択することが動物にとって好ましい、という考えに沿っています。このような判断は決して容易ではなく、私自身は、この考えが絶対的なものでなく、あくまで飼い主の方が最終的にそれが妥当である、と受け入れ、決断することが必要と考えております(国によっては、獣医師が決断を促すべきである、との考えがありますが、日本の社会、人々の考え方からすると、私自身は、このようなプロセスが日本では受け入れやすいのではないかと考えていいます)。獣医師は、現在の状況を飼い主にできるだけ正確に伝え、その上で、飼い主の方に決断していただくことになります。
 まず、現在治療されている獣医師に対し、病状に関するご説明を頂くことが必要です。その上で、今後の見通し(おそらく獣医師も判断に苦しんでいる可能性がありますが)、治癒するとすればどの程度の期間、費用がかかるか、その間に動物の症状はどのように変化する可能性があるか、苦痛はどうか、といった点を、もちろんあくまで予測としてお聞きになってはいかがでしょうか。
 その上で、飼い主であるあなたの気持ち、考え方、等をきちんとお話し、さらに、その予測が動物にとっても、飼い主の家族にとっても受け入れがたい場合、 安楽死の決断をお伝えしてはいかがでしょうか。

 残念ながら、全ての病気が治せる訳ではなく、動物は見た目以上に苦痛を受けていると考えられることはしばしばあります。我々獣医師は、その時点で様々な説明に加えて、安楽死の選択もお話するようにしております。飼い主によっては、そのような決断はできない、とおっしゃる方もおられますが、やはり、動物の側に立った決断の必要な時もある、と考えております。
 早期に回復することを祈りつつ、回答いたします。

東京大学・佐々木伸雄

連絡先 日本獣医学会事務局
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