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Q:猫を重金属中毒で亡くしてしまいました。人体に影響はないのでしょうか。

 一つ質問させていただけますと幸甚です。 先日、猫を重金属中毒で亡くしてしまいました。 獣医さん曰く、油絵の絵の具の重金属を舐めてしまったのだろうということです。 母親が油絵をよく描くので、それのせいかと思います。 我が家には、甥っ子、姪っ子などの小さい子が沢山います。 また、母親も絵の具を良く使います。 そこで心配なのは人体に影響がないかということです。 もし、ご存知でしたら、人体に影響がないか、教えていただけますと幸甚です。 また、その他に調べる方法がございましたら、教えていただけませんでしょうか。 突然のメールですいません。 宜しくお願いします。

お答え

 ご質問は油絵の具を舐めた(可能性のある)猫が死亡したのは、絵の具中に含まれる重金属による中毒が推測される。したがって、油絵を描く母親あるいは近くに居る子供たちに対し影響はないか。こう言った問題に対し調べる方法はないかと理解しました。
 本題から少し外れますが、まず油絵の具の成分は 顕色剤としての“顔料”、展色剤としての“植物乾性油”、体質顔料(タルク)、これに少量の天然・合成樹脂と乾燥促進剤からなっています。このうち問題となるのは“顔料”です。最近では安全意識が高まり毒性的に問題のない“顔料”を含む油絵の具が多数市販されておりますが、ある種の油絵の具の中には、依然として鉛、セレン、カドミウム、コバルト、マンガン、硫化水銀、クロム、銅あるいは砒素といった毒性の強い重金属が“顔料(有害性マークやドクロマークで表示*1されています)”として含まれています。猫が長期間持続的にこう言った絵の具に暴露された(舐めた)場合、中毒を起こす可能性は十分にあります。確定診断としては、やはり使用していた油絵の具の成分を解析するとともに暴露された猫の血液・尿あるいは臓器中の重金属濃度を測定する必要があります。なお、チューブ材質に関しては、以前はほぼ鉛製でしたが、最近では全てアルミニウム製に置き換わっており、材質からの溶出は考えなくても良いと思います。
 次に人体への影響ですが、適正に使用する場合には問題は生じないと考えますが、飲食をしながらキャンパスにむかったり、幼児の誤飲には気を付ける必要があります。成書によると誤飲の場合には「少量でも、すぐ医師の所へ」と記載されております。また、油絵の具の場合、解き油や筆洗いなどに有機溶剤(テレピン、ペトロールなど)が使用されることもありますので、これらの取り扱いにも十分な配慮が必要です。身体に付着した場合には、速やかに中性石鹸で洗い流すことです。
 使用している油絵の具の各種情報につきましては、市販しているメーカーに直接問合せをするのが一番良い方法と考えます。
*1: http://www.artnavi.ne.jp/representation/gazai/ecology/hazardmark.html

岩手大学 獣医学課程 獣医薬理学教室 古濱和久

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