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Q:米国で資格試験を受けるために必要なことはなんでしょうか?

こんにちは。

 現在獣医学科5年生の者です。私は日本での獣医の資格を得てから米国に留学したいと思っています。
 Q&Aの先生のご回答に「もしあなたが日本で獣医師になってから米国に行きたければ、資格試験と開業試験を受けなくてはなりません。」という記述があったのですが、資格試験を受けるために必要なこと(教育)を詳しく教えていただけたらと思います。獣医のある大学院を留学生枠で受験すればいいのでしょうか?
 また、最短のコースで免許をとりたいのですが、やはり日本で働いてお金を作ってからのほうが賢明ですか?それとも学生ローンをとるほうが良いのでしょうか…?
 お忙しい中、申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

お答え

アメリカで獣医師として働く場合、次の2通りに大別される。
 A. 大学病院で働く場合
 B. 一般病院で働く場合

  1. 大学病院で働く場合、北米獣医師免許は一般的に必要ない(場合によっては、州のライセンスを取得しなくてはならない場合がある 下記B-3参照)。大学病院で働く獣医師の身分にはインターン、レジデント、教官の3つがある。また、労働ビザ(H1Bビザ)も必要である【補足1】
    1. インターン
      小動物臨床の場合、小動物臨床の各科(内科、外科、腫瘍科など)を一年かけてローテーションする。アメリカの大学のインターンになるのは難しく、例としてテネシー大学では6人程度のポジションに毎年200人程度が出願する【補足2】
    2. レジデント(resident)
      修了すると「専門医」の資格が与えられる。通常、修了に3年かかる。臨床系レジデントのポジションに応募する際には、最低一年のインターン経験が必要(一般病院で3年以上の勤務経験があればインターンの1年と計算されることもある)。修了の最低条件は、規定の雑誌への論文が掲載されること、および専門医試験に合格すること。例外的に、インターン経験を必要としないレジデントのプログラムもある(病理および臨床病理など)。レジデントのポジションの競争率は各科により差が大きい。特に競争率が高いのは、外科、内科腫瘍科(medicaloncology)、神経科、眼科、循環器(cardiology)である【補足3】
    3. 教官
      臨床系の教官となる場合、レジデント修了が必要条件である。例外的に、産業動物および(馬以外の)大動物臨床の教官となる場合はレジデント経験が不要である(人気が無いため)。また、日本とは異なり、博士号の取得は教官になるための必要条件ではない。
      【補足1】
      大学で働く場合には労働ビザ(H1Bビザ)が必要である。アメリカの一般病院で働く場合には、アメリカ政府が発行する労働ビザの数に上限があるため、運が悪いとビザを取得できない可能性がある。しかし大学で働く場合、ビザは別枠発行となるため、ビザの発行数には上限が無い。そのため、一般病院で働く場合と比べ、ビザは問題となりにくい。
      【補足2】
      少数ながら、これ以外に「専門科のみ」のインターンが存在する(私のような「放射線腫瘍学オンリーのインターン」など)。これらは一般的に「インターンは修了したもののレジデントに採用してもらえなかった」者が、レジデントのポジションに翌年出願するまでの間にキャリアを積むために利用するプログラムである。前述のような「普通の」インターンを修了していることが応募の条件となる。
      【補足3】インターンやレジデントのポジションに出願する場合には、3通の推薦状、エッセイ、および獣医学部時代の成績表の提出が要求される。アメリカ人は成績を重視するため、日本の獣医大学を卒業する場合でも、なるべく好成績を残したほうがよい。また、アメリカの獣医学界はコネ社会であるため、推薦状はアメリカの(できれば有名な)先生に書いてもらうことが望ましい。また、日本の獣医大学で研修医を最低一年程度やっていれば「インターン修了」と認識されるため、アメリカでインターンをしていなくても、いきなりレジデントに応募することができる。また、臨床系レジデントは飼い主と会話しなくてはならないため、どんなに臨床スキルが高くても英語が流暢に話せなければレジデントとして採用されない。従って、英会話が不得意な場合には、飼い主と話さなくて良いレジデントに応募した方が採用されるチャンスは大きい(例. 画像診断、病理、臨床病理、麻酔)。アメリカ人の先生に推薦状を書いてもらう場合、可能なら、その先生と一緒に働いて、スキルを認めてもらうのが良い。

  2. 一般病院で働く場合には、次の3つが必要である【補足4】
    1. 北米獣医師免許
    2. 州の獣医師免許
    3. 労働ビザ(H1Bビザ)またはアメリカ永住権

    1. 日本の獣医大学を卒業してから北米獣医師免許を取得したい場合は、ECFVGプログラムを修了すればよい。ECFVGプログラムは、次の4つのステップから構成されている
      【補足5】

      1-1 日本の獣医大学を卒業する
      1-2 英語の試験を受けて既定の点数を取る(英検1級程度の英語力が必要)
      1-3 北米獣医師免許試験に合格する
      1-4 臨床実技試験に合格する
      【補足6】

    2. 働く州ごとに、その州の獣医師免許をさらに取得する必要がある。州の免許の取得条件は州ごとに大きく異なり、書類審査だけで州免許を取得できる場合もあれば(バージニア州など)、試験を受けなくてはならない場合もある(カリフォルニア州など)。また州の免許を取得しても、それを維持するためには、毎年、何度か学会に出席したりする必要がある。

    3. 永住権または労働ビザの取得
      永住権を取得する方法としては、「アメリカ人と結婚する」「永住権の抽選に応募して当てる」「移民専門の弁護士に頼む」「アメリカで生まれる」などがある。永住権が無ければ、労働ビザ(H1Bビザ)の取得が必要である。労働ビザの発行数には毎年上限があるため(大学病院で働く場合には上限がない)、必ずしもビザが取得できるとは限らない。さらに、近年ビザの取得は次第に難しくなってきている(2007年現在)。

      【補足4】例外的な少数の州では、一般病院で働く場合でも、専門医の資格があれば北米獣医師免許がなくても働くことができる(例.ニューヨーク州)。

      【補足5】詳細はECFVGプログラムの公式サイト参照(Googleで”ECFVG”と検索しましょう)。このプログラムの修了によって得られる北米獣医師免許は、アメリカのみならず、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも有効である。

      【補足6】2005年ごろまでは、この実技試験のほかに、アメリカの獣医大学で最終学年の学生と混ざって一年間の臨床実習をするという選択肢があり、私はこれを選択した。しかし、現在ではこの制度は存在せず、ECFVGを修了するには臨床実技試験の合格が必須となっている。ちなみに、獣医大学で一年間の臨床実習をすることは現在でも一部の大学で可能である(ただし、一年分の授業料を払う必要があり、大動物臨床もしなくてはならない)。これを利用して、「日本で数年間の臨床経験を積んだ後、アメリカの獣医大学で一年間の実習をしてアメリカ人の先生と知り合いになり、インターンやレジデントに応募する際に推薦状を書いてもらう」という手もある。また、この一年間の実習は、実技試験の準備ステップとしても利用できる。


永田浩一(ペンシルバニア大学放射線腫瘍学)

 

Q:米国の獣医師免許取得に関し追加質問

私は、米国の大学・大学院を卒業して、現在、日本の獣医学科3年として獣医学を学んでいる者です。将来できれば米国の獣医師免許を取り、アメリカでも働きたいと考えています。先日、Q&Aに、米国で獣医師として働くためのステップが書かれていたのですが、まず、基本的な所で、アメリカ獣医師免許の取得方法に関する情報源は何処にあるか、知りたいです(インターネットならアドレスをお願いします)。
あと、難易度的に、この方法がどれだけ困難なのか、知りたいです。今から準備できる事があれば教えてください。
宜しくお願いします。
お答え

アメリカ獣医師会のコーナーに参考になる部分がありますので、こちらを参考にして下さい。
http://www.avma.org/education/ecfvg/default.asp

連絡先 日本獣医学会事務局
officeco@jsvs.or.jp | Fax: 03-5803-7762
〒113-0033 東京都文京区本郷6-26-12 東京RSビル7階

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