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:ケトコナゾ−ルとトリロスタン

ゴ−ルデン・レトリバー9歳の♀のお薬の事で判断がつかず悩んでいます。

今…下垂体性副腎皮質機能亢進症でケトコナゾ−ルを飲み良好な成績を得ていますが顔の毛は薄くお腹もぽっこりな状態です。多飲も大分おちつき多尿も1〜2時間ごとから3〜4時間くらいに伸びています。食事は昔から結晶ができやすく膀胱炎になりやすいのでウェルサムのpHコントロ−ルを食べてますが、残すようになったので今はデビフの角切り牛肉を足して食べています。

先日…新薬で(トリロスタン)があると聞き、副作用も少なく有望な薬であるけれど、症例数が少ないと聞きました。

現在…ケトコナゾ−ルでいい結果がででるのですが、トリロスタンを使用した方がお顔の毛が生えるのかなぁ(?_?)と…悩んでいます。

トリロスタンにする場合…(また、初めから検査も大変なのですが…)ケトコナゾ−ルとトリロスタンの違いもお聞きしたいです。
よろしくお願いします。

お答え
  1. トリロスタンについて
    トリロスタンは日本国内では約20年前に発売されましたから、新薬というわけではありません。しかし医学でも獣医学でもあまり注目されませんでした。獣医の世界では、2002年にヨーロッパで発売され、犬の 副腎皮質機能亢進症に有効だといわれて以来、評価が爆発的に高まっています。確かに効果が高く、重い副作用は少ないですから、将来とても有望な薬であることは間違いありません。日本国内でもこの薬を使う獣医師は増えてきています。
  2. ケトコナゾールとトリロスタンの違い
    下垂体性副腎皮質機能亢進症(クッシング病)では、副腎からステロイドホルモン(おもにコルチゾールというホルモン)が出過ぎることで、多量に水を飲んだり、毛が薄くなったり、下腹がたるんだりします。副腎がステロイドホルモンを作るためには、材料であるコレステロールと、いくつかの酵素が必要です。ケトコナゾールもトリロスタンもこのような酵素を阻害する(酵素の働きを邪魔する)薬ですが、邪魔する酵素の種類が違います。ケトコナゾールが邪魔をするのはチトクロームP450という酵素です。この酵素は副腎だけでなく、いろいろな臓器で大切な働きをしています。とくに、肝臓が解毒作用をするために、なくてはならない酵素です。一方、トリロスタンが邪魔をするのは3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素といって、極端に言えばステロイドホルモンを作るためだけにある酵素です。トリロスタンの副作用が少ないといわれるのは、おそらくこういった理由によると思われます。
  3. ケトコナゾールをやめてトリロスタンにするべきか?
    トリロスタンは確かに有望な薬ですが、やはり薬である以上、効果には個体差(個人差)があります。今のケトコナゾールでも効果が出ているようですが、それと比べて優れているか劣っているか(毛が生えるか生えないか)は、やってみなければわかりません。それよりも現実的に、トリロスタンはとても高価な薬です。ゴールデン・レトリバーのような大型犬に与えると、費用が現実的ではなくなるかもしれません。

東京大学・獣医臨床病理学研究室 松木直章

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